スイッチ2が買えないのは誰のせい? 強力な転売対策もむなしく高額出品が続出、“供給不足”の現実
Yusuke Sakakura

Yusuke Sakakura
ブログメディア『携帯総合研究所』の創設者・運営者です。記事の執筆をはじめ、各キャリアやメーカーへの取材、素材の撮影も行なっています。システムエンジニアとしての経験を活かし、HTML・CSS・JavaScript・PHP・Pythonを用いたサイトデザインやテーマの構築を行っています。また、4キャリアの料金比較ができるシミュレーターの開発も担当しています。

任天堂が6月5日、新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」を発売しました。
とはいえ、発売日に入手できなかったとの声がSNS上で相次いでいます。任天堂はこれまでにないレベルの転売対策を講じていたはずが、ふたを開けてみると、フリマアプリには高額出品が並び、正規ルートでの購入は依然として困難な状況が続いています。
一部報道によると、転売目的の購入は全体の5%前後にとどまるとされています。にもかかわらず、ここまで入手困難な状況が続いているのは、任天堂の生産量そのものが需要に対して圧倒的に不足していることの表れではないでしょうか。
前例のない強力な転売対策。転売率はわずか5%前後
任天堂は今回、転売対策として過去に例のない厳格な措置を講じました。
日本国内向けのモデルを「日本語・国内専用版」とし、英語など多言語で遊びたい場合は「多言語対応版」を用意。
直営のニンテンドーオンラインストアでは、初代スイッチで50時間以上のプレイ実績や、1年以上のサブスク加入、そして居住およびニンテンドーアカウントの設定が日本国内であることを抽選販売の応募条件に設定しています。
各量販店においても、アプリ会員登録や過去の購入履歴を条件とした抽選販売が主で、先着順の販売はほとんど行われていません。
さらに、フリマアプリ運営会社と連携し、不正出品への対策も強化されました。中でもYahoo!オークションは「当面の間は出品を禁止いたします」と明言し、厳しい転売対策を講じています。
こうした前例のない転売対策の効果もあり、初代スイッチでピーク時に約3割が転売に回っていたのに対し、スイッチ2では5%前後に抑えられているとされています。数字だけ見れば、転売対策は大きな成果を上げているように見えます。
「スイッチ2の在庫のうち、転売に回るのは5%前後にとどまるのではないか」――。ある証券アナリストはそう予測する。卸会社への聞き取りや周辺情報を総合して試算した結果、2017年発売の初代スイッチは「ピーク時で3割くらいが中国へ流出していた」
- 引用元
- 日本経済新聞社
それでも入手困難。高額出品が横行
徹底された転売対策が実施されたにもかかわらず、発売日にスイッチ2を手にできた人は一部に限られています。発売後の入手を確定できた人すら少ないのが現状です。
任天堂によれば、ニンテンドーオンラインストアで実施された第1回の抽選販売には、なんと220万人以上が応募したとのこと。これは初回出荷分を大きく上回る応募数であり、「相当数が当選しないことが想定される」と案内しています。
生産体制の強化は進められているものの、3回にわたる抽選を経てもなお「当たらない」という声がSNS上にあふれています。
結果として、フリマアプリでは以下のような高額転売が横行しています。
定価 | 転売価格 | |
---|---|---|
本体のみ | 49,980円 | 65,000円〜 |
マリオカートセット | 53,980円 | |
多言語対応 | 69,980円 | 85,000円〜 |
圧倒的な供給不足。高額転売の購入も嫌悪感が薄れる状況に
これだけ徹底した転売対策が講じられているにもかかわらず、発売日に購入できず、発売後の入手すら困難な状況が続いているのは、生産数そのものが圧倒的に足りていないことが原因です。
もし通常レベルの対策しか行われていなかったとしたら、“物売るっていうレベル”にすらなってなかったのではないでしょうか。
任天堂が講じた転売対策は間違いなく評価に値します。しかし、需要に対して明らかに追いついていないという現実は、任天堂自身の責任と言わざるを得ません。
そもそも転売は、欲しい人に商品が届かず、正規価格で入手できない人たちが不当に高額な価格を強いられる構造であり、非難されるべき行為です。そして、転売から購入することは、その構造を支え、転売ヤーの行動を正当化する行為として批判の対象になり得ます。
とはいえ、今回のように転売を抑えられているにもかかわらず、それでも商品が手に入らないという状況では、「仕方なく高額で買う」という選択に対する嫌悪感や背徳感が薄れてしまうのも無理はないのかもしれません。

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