Google Pixel Watch 4 レビュー爆速充電と完全ドームディスプレイ、手首にGeminiで劇的シンカ

Yusuke Sakakura

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ブログメディア『携帯総合研究所』の創設者・運営者です。記事の執筆をはじめ、各キャリアやメーカーへの取材、素材の撮影も行なっています。システムエンジニアとしての経験を活かし、HTML・CSS・JavaScript・PHP・Pythonを用いたサイトデザインやテーマの構築を行っています。また、4キャリアの料金比較ができるシミュレーターの開発も担当しています。

2025/10/10 8:00
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Google Pixel Watch 4 レビュー/爆速充電と完全ドームディスプレイ、手首にGeminiで劇的シンカ

初代Google Pixel Watchのアップデート提供が2025年10月でついに終了します。そんなこともあって、今年こそPixel Watch 4への買い替えを考えている人も多いでしょう。

筆者自身も初代モデルを丸4年間愛用してきました。発売当初のレビューでは、洗練されたデザイン性や良心的な価格を高く評価しつつも、その中身については“物足りない”と感じていたのを覚えています。

Google Pixelファミリーとして登場したにも関わらずスマホとの連携機能は弱く、決済もSuicaとVisaのタッチ決済しか使えなかったことが低評価の理由ですが、最新のPixel Watch 4は、スマホ連携・電池持ち・急速充電・ディスプレイ――すべてが大きく進化していました。

「4年ぶりなら当たり前」と思うかもしれませんが、普通の人はそんなに頻繁にスマートウォッチを買い替えないものです。

Google

爆速、シン・充電システム

今回、最も感動した進化は新しい充電システムです。これまでは本体の底面にあった充電システムが側面に移動しました。

新しい充電システム
新しい充電システム

Pixel Watchは毎年のように充電システムを変えています。

それに対してApple Watchは、初代モデルから同じ充電システムを採用しつつ、着実に充電速度を高速化させています。この違いから「Googleはエコじゃない」と批判されましたが、Pixel Watch 4の進化は、エコを差し置いてでも価値があるほど劇的です。

充電システムの刷新に同意できる点は2つあります。

ひとつは“速すぎる”と表現しても言い過ぎじゃない充電速度です。

初代Pixel Watchはとんでもなく時間がかかり、出かける前に充電を忘れると30分以上家を出られないこともありました。

Pixel Watch 4は前世代から25%も高速化したことで15分で54%、30分で92%に到達します。この爆速とも言える充電スピードなら、出かける前に充電を忘れたとしても大きな不安はありません。

真上を向くPixel Watchとこちらを向くPixel Watch 4
真上を向くPixel Watchとこちらを向くPixel Watch 4

もうひとつは、スマートウォッチを立てるように充電する方式が、理にかなっているということです。

これまではどれぐらい充電できたのか確認するときも、文字盤をのぞき込む必要がありました。ペアリングしたスマホのWatchアプリから残量を確認することもできますが、面倒なため、充電が完了するまでただの置物になることがほとんどです。

Pixel Watch 4は充電器に置いた瞬間に文字盤が横向きになり、デスクに置くときも、ベッドサイドに置くときも、目線を送るだけで時間やバッテリー残量、アラームを確認できます。また充電中にデジタルクラウンを操作するときも下に押し込む形になるため、操作しても充電器から外れにくくなっています。

ひとつ欠点を挙げるとすれば見た目への影響です。

充電のピンが剥き出しになったことで、これまでにはなかったガジェット感が出ています。できるだけ目立たせたくないのであれば、マットブラックを選びましょう。

高速充電と引き換えに充電用のピンが露出
高速充電と引き換えに充電用のピンが露出

Wear OS 6と高効率なチップの組み合わせにより、電池持ちも大幅に向上しています。

特に待機時の電力効率が素晴らしく、手首に巻いて時間や通知を確認するだけなら1時間で1%しか減りません。

アクティブな使い方をしなければ、2日分の睡眠計測が可能です。

3日目の夕方から夜にかけて充電が必要になりますが、超高速充電によってお風呂に入って髪を乾かしている間に充電しておけば、ほぼつけっぱなしで過ごすことができます。

ただ、アクティブな使い方をすると、急激に電池が減ることも確認しています。

特にGoogleマップのナビ機能を利用したところ、わずか15分で10%以上のバッテリーを失いました。おそらく高精度化になったGPSが影響しているのでしょう。ウォーキングやランニングなど、GPSを使って経路を記録する使い方では、電池持ちの印象が大きく変わるかもしれません。

美麗、シン・ディスプレイ

Pixel Watch最大の特徴はドーム状のディスプレイです。初代モデルから正解を出したGoogleですが、Pixel Watch 4では、さらに完成度を高めています。

最初、Google Japan本社で説明を聞いても何が変わったのかわかりませんでした。実際に触れてもよくわからない、でも確かに何かが違うことは確か――やがて気づいたのはディスプレイが指に吸い付くような感覚です。

その理由は完全なるドームディスプレイです。これまではガラスだけがドーム状で、内部の表示パネルはフラットでした。Pixel Watch 4では、表示パネルまでドーム状になったことでガラスとの距離が縮まっています。

さらに、なめらかな映像表示に影響するリフレッシュレートが最大60Hzに向上(初代は30Hz)し、ハードウェアだけでなく、新しいインターフェースも吸い付くような体験を強調するようにデザインされています。

ベゼルは16%も狭くなり、表示領域は10%も拡大
ベゼルは16%も狭くなり、表示領域は10%も拡大

この1週間、左腕にPixel Watch 4を、右腕にApple Watchを着けて過ごしていますが、Pixel Watchはスクロールされた画面がドーム状のディスプレイに沿うように動き、ハードとソフトが溶け合うような一体感があります。

物欲が刺激されないバンド

Pixel Watch 4は、時計に近い理想的なデザインで、ファッションアイテムとしての完成度も高いと感じています。

ただ、その魅力を引き立てるはずのバンドには不満があります。

Googleは純正バンドを全10種類用意し、Pixel Watch 4の発売に合わせて、グラデーションカラーと柔らかく伸縮性のある「グラデーションストレッチバンド」も新たに追加されました。

それでもApple Watchtと比べると、バンドの種類やカラーバリエーションはやや物足りません。特にブラックユニティやプライドエディション、NIKE、Hermèsのような特別なバンドがなく、サードパーティ製バンドの選択肢も少ないため、バンド欲が刺激されません。

実際、Apple Watchでは、定期的に買い足しているのに対し、Pixel Watchでは4年前に数本購入して以来、一度も新しいバンドを手にしていません。

レザー廃止の流れが進むなかで、Pixel Watchが純正のレザーバンドをラインナップしている点は評価できます。ただ質感はいまひとつ。クラフトレザーバンドは硬くて厚紙のような手触りで、ツートーンレザーバンドは薄く、少し安っぽく感じます。

これらのレザーバンドは初代モデルから変わらず提供されており、そろそろ素材からリニューアルして欲しいところですが、レザー離れが進む今、それも難しいのかもしれません。

さらに、初代モデルから 45mm モデルに買い替えると、これまで購入したバンドが使えなくなるため、買い替えたいけれど、欲しいバンドが見つからないという悩ましさもあります。

Pixel Watchの文字盤

文字盤についても同様のもどかしさがあります。

ドーム型ディスプレイの魅力を活かした「コンセントリック」や、3つの針とアワーマーカー、1つのコンプリケーションで構成されたシンプルな「アナログ」や「シェイプ」など、お気に入りの文字盤はいくつかあるものの、いずれも昔から用意されている定番のものばかりです。

スマートウォッチの文字盤は、OSアップデートのタイミングや気分に合わせて定期的に変えたくなるもの。Apple Watchでは、新しい文字盤を試すことが多いのに対し、Pixel Watchは、なかなか刺さるものがなく、結局いつもの文字盤をローテーションすることが多いです。

洗練されたハードウェアを備えているにもかかわらず、バンドや文字盤のデザインからはどこかガジェット感が漂っていて、せっかくの時計らしいファッション性がやや損なわれてしまていると感じます。

手首にGemini

今年のGoogle PixelファミリーのテーマはAIです。Pixel 10シリーズでは、AI主導の新機能を導入してAIスマホの未来を描きました。

Pixel Watch 4は、そこまでの大きな進化ではないものの、AIによってさらに便利になっています。

AIアシスタントはGeminiに
AIアシスタントはGeminiに

AIアシスタントには、Googleアシスタントに代わって、より複雑なわがままに応えてくれるGeminiが搭載されています。これは予想していた以上の進化でした。

タイマーひとつすら賢くなっています。例えば卵を半熟で茹でたいとき――まずは何分茹でればいいのかを知る必要がありますが、Googleアシスタントはそれすら答えられません。

Geminiなら「卵を半熟に茹でるタイマーをセットして」と話すだけで、最適な茹で時間をウェブで調べたあと、タイマーを自動セットしてくれます。

また「六本木ヒルズから麻布台ヒルズまでのルートを教えて」と話したあとに「電車(徒歩)の方が早いかな?」といった追い質問にも応えてくれます。

Geminiは旧モデルにも搭載される
Geminiは旧モデルにも搭載される

ちなみに、Pixel Watch 4は、デュアル周波数GPSに対応したことで、これまで苦手だった都心部でも、より正確な経路を描けるようになりました。Pixelスマートフォンではすでに採用済みで、ようやくウォッチとスマホの“精度が並んだ”かたちです。

――とはいえ、実際にGoogleマップのナビ機能で試してみると、まだ課題も感じます。

現在地が古いまま更新されなかったり、渋谷駅周辺で同じ場所をぐるぐる案内されたりと、「本当に改善されたの?」と思う場面も少なくありませんでした。

ナビの使い勝手に関しては、やはりスマホのほうが圧倒的にスムーズ。少なくとも今のところは、Pixel Watchにナビを完全に任せる気にはなれません。

ナビ機能
ナビ機能

Geminiをより身近な存在にするために「手をあげて話す」機能も追加されました。

Pixel Watch 4をつけている手を上げて口元に近づけてそのまま話すことができます。「OK, Google」や「Hey, Gemini」といったウェイクワードは不要。シャイな日本人にとっては嬉しいアップデートです。

この機能はApple Watchにもありますが、ほとんどうまく機能しません。

Pixel Watch 4は立っているときはもちろん、座ってるときも反応してくれます。空振りすることもありますが、コツをつかめば、ほぼ毎回正確に反応してくれます。どうしても慣れないならサイドボタンの長押しでも起動することも可能です。

手首を上げてSiriが反応すると画面下部がボワっと青く光る
手首を上げてSiriが反応すると画面下部がボワっと青く光る

さらに、AIがパーソナルヘルスコーチとして、運動・睡眠(休息)・健康をまとめてコーチングしてくれる機能にも対応します。将来的にパーソナルトレーナーがAIに置き換わる可能性もあるのかな?と思える機能ですが、現時点では日本での提供予定はありません。

AIを支える基本性能もパワーアップしています。

チップがSnapdragon W5 Gen 2にアップグレードされ、初代Pixel Watchから移行すると驚くほどスムーズに動作します。

また、スピーカーも新しくなり、Geminiの音声返答が聞き取りやすくなりました(音声はオフにすることも可能)。振動によるフィードバックを生み出すハプティックエンジンが15%強化されたことで、返答完了を示す振動も感じやすいです。

心電図測定に対応

Pixel Watchは初代モデルから心電図の測定に対応していたものの、日本では利用できませんでした。

当時、Googleは「規制当局と一緒になって懸命に取り組んでおり、日本のユーザーにもできるだけ早く使っていただきたい」と説明していましたが、日本でもようやく使えるように。

心電図測定に対応。Pixel Watch 2以降のモデルで利用できる
心電図測定に対応。Pixel Watch 2以降のモデルで利用できる

心電図を測定するには、Pixel Watch 4でアプリドロワーから「Fitbit心電図」を選択。初回のみスマホアプリを起動して、セットアップとチュートリアルを終えたらあとはPixel Watch 4から測定できます。

計測するには机に腕を乗せ、指をデジタルクラウンに30-40秒当てるだけ。心拍リズムと正常か否かが表示されます。

心電図アプリはドロワーだけでなく、文字盤を左右にスワイプしてアクセスできるタイルや、文字盤にコンプリケーションを追加してショートカット起動できます。ただ心拍と違って自動計測ではないため、文字盤にはリアルタイムな数値は表示されません。

睡眠トラッキング

Pixel Watchを睡眠トラッキングに活用している人も多いでしょう。

Pixel Watch 4では、新しい機械学習モデルが採用され、各睡眠ステージの経過時間の追跡する精度が18%向上したとされています。つまり、覚醒状態、レム睡眠、朝い眠り、深い眠りといった分類がより正確になるということ。

試しに初代Pixel Watchと比べてましたが、大きな違いは感じられませんでした。筆者は平均睡眠時間が4〜5時間なので大きな差が出にくいのかもしれません。

Pixel Watch 4で睡眠トラッキング
Pixel Watchで睡眠トラッキング
Pixel Watch 4(左)、Pixel Watch(右)で睡眠を計測

このほかにも、ストレスや疲労、風邪などの体調不良の初期兆候、または女性の月経周期に伴う変化など、様々な要因による身体反応をより正確に知ることができる睡眠時の皮膚温トラッキングも改善されています。

スマートフォンの連携機能も充実

初代Pixel Watchを厳しく評価した理由の一つは、Google Pixel スマホとの連携機能があまりにも乏しいことでした。

当時のレビューは以下のとおりです。

一方で、スマートフォンとの連携機能は、動画や音楽の再生・一時停止・スキップ・音量調整、遠隔でスマホ・Pixel Watchの音を鳴らす、Smart Lockぐらいしか用意されていません。Apple Watchでは、機内モードやおやすみモードにすると、iPhoneにも自動的に反映されますが、Pixel Watchに自動反映する機能はなく、同じブランドのPixelスマートフォンであってもデバイスごとに設定が必要です。Pixel Watchの名前が不自然に感じるほど、Pixelスマートフォンとの魅力的な連携機能が見当たりません

現在のWear OSとPixel Watch 4では、サイレントモードとおやすみモードがスマホと自動的に同期するようになりました。

また、Pixel Watchが就寝を検知すると、スマートウォッチとスマートフォンの両方でおやすみモードが自動でオンになり、目覚めると自動でオフになります。

そのほかにも、Pixel Watchからスマートフォンのロックが解除できる「ウォッチ認証」や、スマホを取り出さずに音声を録音してスマホに同期できるレコーダーにも対応しています。

初代モデルと比べて連携機能は大幅に進化しています。

当時、連携機能に不満を感じたのは、映画鑑賞時や飛行機搭乗時にPixel Watchまたはスマートフォンから機内モードをオンにしても、同期されなかったことがきっかけでした。これについては現在も機内モードは同期されず、連携オプションも用意されていないため、スマホとウォッチを個別に操作する必要があります。

まとめ

初代Pixel Watchは「本当に最低限の機能しかない」と評価しました。それから4年、スマホとの連携強化や、iD・QUICPay・PASMOなど対応する決済サービスも大幅に拡充するなど、必要な機能がそろったスマートウォッチへと進化しています。

こうした基礎能力の向上に加えて、Pixel Watchの最大の特徴であるドーム状のディスプレイは、新しい表示パネルとインターフェースによって、ソフトとハードが溶け合うような一体感を実現。驚異的な充電速度や電池持ち、手首を上げるだけで起動するGeminiなど、“Pixel Watchを使いたくなる理由”も詰め込まれています。

Androidスマホで使えるスマートウォッチはいくつかありますが、Pixel Watchからの買い替えを考えているなら、Pixel Watch 4を選んでも間違いはありません。

Pixel Watch 4 41mm
Pixel Watch 4 41mm¥ 52,800Pixel Watchの登場以来、最大のアップデートになりました。内側も外側も新しいハードウェアを備え、スマートウォッチ体験もまったく新しいものに進化したモデルです。画面全体がドーム上になった新しいActua 360 ディスプレイ、消費電力を半分に抑えつつ性能は25%高速に。充電速度も25%高速化され、15分以内に50%まで充電できる新しいシステムを追加しました
Pixel Watch 4 45mm
Pixel Watch 4 45mm¥ 59,800Pixel Watchの登場以来、最大のアップデートになりました。内側も外側も新しいハードウェアを備え、スマートウォッチ体験もまったく新しいものに進化したモデルです。画面全体がドーム上になった新しいActua 360 ディスプレイ、消費電力を半分に抑えつつ性能は25%高速に。充電速度も25%高速化され、15分以内に50%まで充電できる新しいシステムを追加しました

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