Galaxy Ring レビュー:スマートウォッチとの勝負論は存在しないスマートリング
Yusuke Sakakura

Yusuke Sakakura
ブログメディア『携帯総合研究所』の創設者・運営者です。記事の執筆をはじめ、各キャリアやメーカーへの取材、素材の撮影も行なっています。システムエンジニアとしての経験を活かし、HTML・CSS・JavaScript・PHP・Pythonを用いたサイトデザインやテーマの構築を行っています。また、4キャリアの料金比較ができるシミュレーターの開発も担当しています。

海外での発売から遅れること約半年、日本でもついに「Galaxy Ring」が発売されました。
スマートウォッチの次に来るデバイスとしてスマートリングに期待する声も多いですが、約10日間使ってみた結論は、Galaxy Ringとスマートウォッチの間に勝負論はないというのが正直な感想です。
スマートウォッチを凌駕する圧倒的な着け心地
Apple Watch Series 10は、間違いなく優れたスマートウォッチですが、手首が蒸れてかゆくなったり、圧迫感に耐えられず外したくなるため、24時間365日つけ続けることはできません。
さらに、バッテリーが丸2日間持つことはないため、充電のために手首から外す時間も必ず生まれます。
一方、Galaxy Ringは、指のむくみで外しにくくなることはあっても、かゆくや圧迫感がなく、バッテリーが許す限り、仕事中も食事中も睡眠中も24時間365日着けていられます。

また、10気圧防水とIP68の防水・防じん性能を備えているため、手を洗うときやシャワーを浴びるとき、さらには海で泳ぐときも外す必要がありません。
常に装着していられることで、デバイスが清潔に保たれるのも大きなメリットです。
高いフィット感ゆえにサイズ確認が面倒
スマートリングの着け心地は最高ですが、スマートウォッチのようにサイズを微調整することはできません。
最高のフィット感を実現するためには、リングの購入前にサイズキットを注文し、自分の指に合うサイズを事前に確認する必要があります。
サイズは5〜15まで用意されていますが、これは通常の指輪の号数とは異なります。

また、ぴったりのサイズを確認したとしても、各店舗にすべてのサイズが揃っているわけではありません。例えば、auやソフトバンクでは、9または10しか取り扱っていないため、それ以外のサイズを希望する場合は別のストアで購入する必要があります。
Galaxy Harajukuなど、サイズキットが置いてある店舗もありますが、Samsungはサイズキットを24時間装着して違和感がないことを確認することを推奨しています。
さらに、Galaxy Ringは通常の指輪と異なり、センサーの位置を指の腹側に合わせる必要があるため、リングには向きがあります。
大きなサイズを選ぶと、装着中にセンサーの位置がずれてしまうこともあるため、サイズを事前確認する際は、指輪が回らないことを確認しておきましょう。
睡眠・心拍数の精度は十分
Galaxy Ringの大きさは幅7mm・厚さ2.6mm。この小さなリングに以下のセンサーが搭載されています。
- 加速度センサー:身体の動きや活動を記録・追跡
- 光学生体信号センサー:心拍数のモニタリング
- 皮膚温度センサー:睡眠中の皮膚温度の変化を測定
このリング1つで正確に記録されるのか不安でしたが、Apple Watch Series 10と比較しても、睡眠・心拍数・歩行数・歩行距離・消費カロリーの記録に大きな差はなく、測定の精度は十分と評価できます。

Galaxy Ringでできること
睡眠と心拍数の記録など健康管理には優れていますが、Galaxy Ringはスマートウォッチの代替にはなりません。それはあまりにも機能が不足しているからです。
例えば、ワークアウトの計測。Galaxy Ringは、ウォーキングとランニングの自動計測のみ対応しています。
スピーカーやディスプレイもなし。タイマー機能もなくプランクの秒数さえカウントできません。
また、スマートリングはゴルフや野球、テニス、バドミントンなど、手に何かを持つアクティビティでは単純にリングが邪魔になります。

物事に集中できるメリットだと言う人もいるかもしれませんが、Galaxy Ringにはバイブレーションもなく、スマホに届いた通知の内容どころか届いたことさえ確認できません。
FeliCaもNFCにも非対応。ディスプレイもないため、決済用のコードを表示することも、今の時間すらも確認できません。
さらに、ヘルスケア機能も睡眠時無呼吸症候群や不整脈の検出といった高度なトラッキング機能にも対応していません。
- 心拍数モニタリング
- 心拍数が上下に過剰に変動するとアラートを送信
- ウォーキングとランニングの自動追跡
- スタートボタンを押さなくても自動追跡し、消費カロリーなどの統計データを専用アプリで確認
- 睡眠分析
- 睡眠時間、睡眠ステージ、睡眠スコアの確認
- 月経周期のモニタリング
- 歩数・活動時間・活動カロリーの確認
- Galaxy Ringを探す
- Galaxy専用の「Samsung Find」アプリからリングを点灯させる
- スマホのリモート操作
- ダブルタップでアラームの停止とカメラのシャッター機能
- エナジースコアの確認
- 睡眠・活動・睡眠時心拍数・睡眠時心拍変動から心身の状態を評価して算出するスコア
普及には低価格化が必要。決済対応にも期待
Galaxy Ringの価格は63,690円と、これだけ機能を絞り込んだデバイスとしてはかなり高額に感じます。
普及を目指すのであれば、せめて半額程度に抑えることが必要でしょう。
機能も拡充して欲しいところ。最も欲しい機能はやはりタッチ決済、特に交通機関の改札に対応した決済機能です。
スマートウォッチの決済機能は便利な一方で、改札機にかざすには手首を不自然に曲げて体勢を屈める必要があるため、改札を通るたびにストレスを感じます。一方、指に装着するリングなら、自然な姿勢でスムーズに改札を通ることができます。
現在の技術では、指輪サイズのデバイスにFeliCaを搭載するのは難しいかもしれませんが、クレカのタッチ決済であれば、すでに小型のリングデバイス「EVERING」がVISAのタッチ決済に対応しているため、技術的には実現可能なはず。
この場合、改札機がタッチ決済に対応する必要がありますが、京王線・井の頭線、ゆりかもめ、その他都内の一部駅で導入されているように、タッチ決済に対応した改札は徐々に拡大しています。
まとめ:スマートウォッチとの併用がおすすめ

Galaxy Ringは、睡眠と健康の計測・管理に特化したシンプルなデバイスです。
スマートウォッチと比較すると、通知・決済・ワークアウト・高度な健康管理はごっそり削ぎ落とされているため、機能性という観点では比較になりません。
これは、ボクサーがUFCのランカーに総合格闘技で勝負を挑むようなものです。そもそも同じ土俵で競わせることすらできず勝負論はありません。
個人的にはスマートウォッチと併用する使い方がベストだと感じました。
Galaxy Ringは24時間365日着けておき、ジムでワークアウトするときや、決済が必要な交通機関を利用するときなど、必要なときにスマートウォッチを手首に巻く。そして、睡眠の計測を行う前にスマートウォッチを外すーーそんな使い分けが理想的です。

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