Galaxy Z Fold7 レビュー/折りたたみスマホから完璧な2in1スマホに究極進化
Yusuke Sakakura

Yusuke Sakakura
ブログメディア『携帯総合研究所』の創設者・運営者です。記事の執筆をはじめ、各キャリアやメーカーへの取材、素材の撮影も行なっています。システムエンジニアとしての経験を活かし、HTML・CSS・JavaScript・PHP・Pythonを用いたサイトデザインやテーマの構築を行っています。また、4キャリアの料金比較ができるシミュレーターの開発も担当しています。

「数年後にはAIがあらゆるものを置き換える」という主張と、「そのうち折りたたみスマートフォンを全員が持つようになる」という主張。
どちらもスマートフォンの2大トレンドで、急速に進化していますが、後者に現実味は感じられませんでした。しかし、Samsungの最新折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold7」を1週間ほど使い込んだ今は、その考えが変わりつつあります。
そのときはそう遠くない──そう思わせてくれるほど、Galaxy Z Fold7は折りたたみスマートフォンの価値観を変える、素晴らしい仕上がりです。
それは、5段階中4.9点という評価にも表れています。これまで数々のスマートフォンをレビューしてきましたが、これほどの高評価をつけたのは今回が初めてです。
折りたたみスマホの価値は本体の外側にある
折りたたみスマートフォンで注目されるのは、本体を開いたときの巨大なディスプレイです。本体を開く動作と、スマートフォンでは搭載不可能なビッグスクリーンには、それほど強いインパクトがあります。

ただ、筆者が感じる折りたたみスマホの真の魅力は、スマートフォンとタブレットをポケットサイズで持ち運べる2in1の体験にあると思います。
つまり、本体を開いて使うときと閉じて使うとき、どちらも同じぐらい快適であること──否、むしろ閉じたときのスマートフォンとしての使いやすさこそが、最も重要だと感じます。

折りたたみスマートフォンは、あくまでもスマートフォンであってタブレットではありません。
どれだけ優れたタブレットもキーボードやトラックパッドといった付属品がなければ、スマートフォン以上の価値を発揮することはありません。付属品がなければ、できることはスマホと大きく変わらず、操作性に至っては、ただ文字入力しにくい巨大なデバイスです。
タブレットを買ってもすぐに使わなくなってしまうのはそれが原因だと思います。
大は小を兼ねません。
折りたたみスマホも同じです。巨大なメインディスプレイが、本体外側のカバーディスプレイを兼ねることはありません。
Samsungもそれに気づくまでに時間がかかったようです。
第3世代のFold 3までおまけ程度のカバーディスプレイを搭載していましたが、Fold 4から徐々にワイド化。ついにFold7では普通のスマートフォンと同じ縦横比のディスプレイを搭載しました。
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- Galaxy Z Fold6:22:9
- Galaxy Z Fold5:23.1:9
- Galaxy Z Fold4:23.1:9
- Galaxy Z Fold3:25:9
- Galaxy Z Fold2:25:9
- Galaxy Z Fold:21:9
同じ縦横比のディスプレイを搭載する機種は他にもありますが、本体が重く、厚く、幅も広いため、操作性まで再現することは簡単ではありません。
しかし、Galaxy Z Fold7は、Galaxy S25 Ultraと同程度の重さ、通常のスマホと同じ8.9mmの厚さ、スリムな70mm前半の幅を実現。特に重さの改善は使用感を大きく引き上げていて「これが折りたたみスマートフォン?」と思えるとほど、閉じた状態の感覚は普通のスマホと同じです。
本体を開けばタブレット、閉じればスマホとして操作できる完全な2in1体験を実現しています。

薄型化の代償。さようならSペン
Galaxy Z Fold7に4.9もの高い評価を与えた理由は、1台にスマホとタブレットの両方の体験を詰め込み、そのどちらの体験も優れていることが理由です。
この体験を実現できた理由は薄型化と軽量化です。
薄型化はヒンジの改良によるもので、本体の開閉は依然と変わらずスムーズ。構造の改善によって、ディスプレイの湾曲具合を緩やかにすることで、折り目も大きく改善されています。シワもまったく気になりません。

しかし、その代償もあります。
1つがSペンです。
Galaxy Z Fold7は本体の薄型化のために、Sペンに必要なディスプレイ部品を取り除きました。
Sペンがなくなったことで、タブレットとしての体験は後退したものの、Samsungはペンデバイスを常用する人はそれほど多くないと判断したのでしょう。
Galaxy S25 Ultraと違い、本体に収納できないSペンは誰もが必要としているものではなかったともいます。
また、本体を開いたときのフロントカメラもUDC(アンダーディスプレイカメラ:画面内蔵カメラ)からパンチホールに変更されています。

UDCによって画面全体がキャンバスになっていましたが、Sペンの廃止によって不要と判断されたのでしょう。
UDCの未来感あふれるデザインが気に入っていましたが、カメラ性能が犠牲になっていたのも事実です。
パンチホールを選択したことで、Galaxy Z Fold7のフロントカメラは4メガピクセルから10メガピクセルに向上。視野角も100°まで広がり、17.6%も広く撮影できるようになりました。
もう1つは本体を開きにくいことです。
慣れの問題もあるかもしれませんが、厚さ8.9mmのスリムな側面に親指2本をかけて本体を開く動作は簡単ではなく、特に屋外では本体も修理費用も高額な本体を落とさないように慎重に本体を開く必要がありました。
それでも、Samsungの判断は正しかったと感じます。
Galaxy Z Fold7は、SペンとUDCを失ったものの、完全な2in1体験を手に入れており、失ったものより得たものの方がはるかに大きいと思います。
Ultra級のカメラの実力は?
Samsungが発表前から何度もアピールしていたように、今作はUltraな体験が大きなテーマです。
その象徴が2億画素のメインカメラです。
折りたたみスマートフォンは薄型であるが故に、カメラの進化は乏しかったなか、Galaxy Z Fold7は大きく進化しました。作例は以下のとおりです。













広角カメラが大きく進化した一方で、超広角カメラと望遠カメラはUltra級と言えるほどの性能ではありません。
ただ、カメラの進化はハードウェアよりも、ソフトウェアの方が大きいと感じます。Galaxy S25 Ultraのレビューでも書いたように、今年のGalaxyカメラには昨年までの不自然に高い彩度は感じられず、自然な仕上がりになりました。
また、本体を開きながら動画を長回ししたり、タイムラプスを撮ったり、三脚なしでブレなく撮影できるなど、折りたたみスマホならではのカメラ体験もそのままです。
電池持ちは?
Ultraな体験をアピールする一方で、バッテリーについてはどの価格帯でも5,000mAh前後の容量を搭載するなかで、4,400mAhとやや不安なものになっています。
ここまで薄型化を実現しながら、容量を維持している点は評価できます。とはいえ、実際の電池持ちはどうだったのでしょうか。
東京から大阪への出張で朝7時から使用を開始。
カバーディスプレイでカレンダーアプリを開いて予定の確認やGoogleマップで経路の確認、SNSとRSSチェック。新幹線で移動中はメインディスプレイで電子書籍を楽しみ、1時間ほどテザリングPC作業、レビューの下書きを行いました。取材現場の大阪・関西万博に着いてからは約200枚の写真と動画を撮影。14時30分ごろにバッテリー残量が0%になりました。
これほどヘビーな使い方で1日中使用するには、モバイルバッテリーとの併用は欠かせないようです。
充電速度は控えめな最大25W出力に対応しています。実際は多くの時間で15W前後に留まり、0%からフル充電までには1時間30分かかりました。ここ最近は90Wや120W出力といったスマートフォンを使用していたので、物足りないものがあります。
まとめ:最大のネックはやはり価格。安く購入するには?
チップセットにはフラグシップクラスの頂上にある、まさにUltraなプロセッサ「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」を搭載。12GBのメモリによって8インチの巨大なスクリーンに複数のアプリを並べるマルチタスキングも快適に動作します。
間違いなく今世にある折りたたみスマートフォンで最高のデバイスです。少なくとも日本で買える折りたたみスマホとしてこれ以上の選択は存在しません。
これまでの折りたたみスマホは、“スマートフォンでありながら、スマホとしての操作性を犠牲に”していましたが、Galaxy Z Fold7は、薄型軽量な本体に2億画素カメラを搭載するなど、あらゆる面で妥協しなくても良い2in1デバイスに仕上がっています。
ただ、やはり価格がネックになります。
機種代金は最低価格が20万円半ばに設定されています。キャリア価格も昨年末に行われた法改正によって残価を高額に設定することが不可能になり、最も安価なソフトバンクでも負担金が10万円を超えます。
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