iPhone 16eとPixel 9aを徹底比較。2025年春買うべきスマホはどっち?
Yusuke Sakakura

Yusuke Sakakura
ブログメディア『携帯総合研究所』の創設者・運営者です。記事の執筆をはじめ、各キャリアやメーカーへの取材、素材の撮影も行なっています。システムエンジニアとしての経験を活かし、HTML・CSS・JavaScript・PHP・Pythonを用いたサイトデザインやテーマの構築を行っています。また、4キャリアの料金比較ができるシミュレーターの開発も担当しています。

2025年春、どのスマートフォンを購入しようか迷っている人も多いでしょう。有力な選択肢は2つです。
1つは手ごろな価格と優れたカメラ性能で人気の高いPixel Aシリーズの最新モデル「Google Pixel 9a」、もう1つは学生を中心に圧倒的な人気を誇るiPhoneで最も手ごろな「iPhone 16e」です。
iOSとAndroidのどちらを好むかによって、選ぶべき機種も大きく左右しますが、iPhoneとGoogle Pixelを長くから併用する筆者が、両機種を徹底的に比較してどちらが優れているのか、あなたにとって最適な機種はどちらか、その選び方を解説します。
iPhone 16eとPixel 9aの違いまとめ
iPhone 16e | Pixel 9a | |
---|---|---|
価格 | 99,800円から | 日本価格未発表 |
容量 | 128GB / 256GB / 512GB | 128GB / 256GB |
大きさ・片手操作 | ◯ | △ |
重さ | 167g | 185.9g |
画面のなめらかさ | 60Hz | 60-120Hz |
常時表示 | 非対応 | 対応 |
画面の明るさ | △ | ◯ |
カメラ | シングルカメラ | デュアルカメラ |
カメラ機能 | 少ない | 豊富 |
チップ | A18 | Google Tensor G4 |
AI | Apple Intelligence | Gemini |
バッテリー容量 | 4,005mAh | 5,100mAh |
Wi-Fi | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6E |
USB | 2.0 | 3.2 Gen2 |
セキュリティ | 顔認証 | 指紋認証、顔認証 |
デザイン:質感にも違いあり
iPhone 16eは、上部がへこんだノッチ付きのオールドデザインを採用しています。同じiPhone 16シリーズながら、他の上位モデルとは明らかに異なる見た目です。
カラーバリエーションもブラックとホワイトの2色しかありません。

一方、Pixel 9は、紫のIris、ピンクのPeony、白のPorcelain、黒のObsidianと4色展開。カラーに合わせた純正ケースも用意されています。
また、Pixel 9aは遠い昔に絶滅した完全なフラットデザインを採用。カメラによる出っ張りがなく、机に置いたときのガタつきがないのが嬉しいポイントです。

10万円を切る価格帯では、コストの関係で前面デザインのクオリティに差が出やすい傾向があります。
例えば、質感(安っぽさ)に大きく関わる背面の素材は、iPhone 16eのガラスに対して、Pixel 9aはプラスチックです。
両機種ともベゼル(画面のふち)はやや太めで、上位モデルと比べるとどうしても洗練さに欠けます。
性能:数年後も快適に使えるのはどっち?
アップデートの保証期間が延びるとともに、スマートフォンの寿命や使用期間も長くなりつつあります。
そんななかで、数年後も快適に使えるかどうかを左右する「性能」は、以前にも増して重要なポイントとなっています。
特にここ数年は、生成AIの進化が加速しており、性能はスマホ選びにおいて最も重視すべき要素のひとつです。
その性能を大きく左右するのがチップセットです。Pixel 9aには「Google Tensor G4」、iPhone 16eには「A18」が搭載されています。
では、どちらの性能が優れているのかーー結論から言えば、iPhone 16eが圧倒的に優れています。
実際、あらゆるベンチマークスコア(性能を数値化したもの)において、A18がTensor G4を大きく上回っており、処理速度、ゲーム性能、AIの処理能力など、ほぼすべての面で優れています。
「数年後も快適に使いたい。」「高い処理能力を要求するハイエンドなゲームも快適に楽しみたい」のであれば、iPhone 16eを選ぶのが正解です。
AI:便利なのはどっち?
スマートフォンのAIは、ここ数年で飛躍的に進化しています。
画質を向上するカメラ機能、写真と動画の編集、音声認識、新たな検索体験、テキスト要約や文章作成など、日常のあらゆる場面でAIが活用されるようになりました。
Gemini:Pixel 9a
スマートフォンに高度なAIをいち早く取り入れたのがGoogleです。AI時代を見据え、数年前から市販のチップセットをやめて、独自開発の「Google Tensor」に移行。
写真から不要なものを簡単に消すことができるおなじみの「消しゴムマジック」や、筆者にとってなくてはならない機能になっている録音のリアルタイム文字起こしといった便利な機能を実現してきました。
最新のTensor G4では、さらに進化したAI体験が楽しめます。
- Pixelスタジオ:テキストから画像を生成できるAIアプリ
- 一緒に写る:AIによる自然な合成で、三脚や周囲に人がいなくても集合写真が撮れる機能
- Gemini Live:AIと声で会話できる機能
- カメラ映像や表示中の画面をAIに共有することも。目の前にある建築物について尋ねたり、表示中の服と似合うコーディネートの提案も可能です
Apple Intelligence:iPhone 16e
一方、Appleは大幅な遅れを取り戻すべく、2024年秋に「Apple Intelligence」の提供を開始。iPhone 16eも対応しています。
プライバシーを最優先にしながら、文章の要約・書き直し、絵文字や画像の生成に対応。Siriは、見た目を大きく変え、自然な言葉の理解度が大幅に向上しています。
さらに、動画内の特定シーンをテキストで検索できる機能にも対応。今後は、忘れていてもSiriに聞けば思い出させてくれる新機能にも対応予定です。
注意点は日本語対応が2025年4月初旬になること。また、最も期待されているSiriの新機能は2026年に延期されています。
- 今すぐAIの便利さを実感したいならPixel 9a
- 将来的な可能性や今すぐAIが必要ないならiPhone 16e
バッテリー:長く使えるのはどっち?
スマートフォン選びで、常に上位に挙がる重要なポイントが電池持ちとバッテリー性能です。
電池持ちに大きく影響するバッテリー容量は、iPhone 16eが4,005mAhで、Pixel 9aが5,100mAhと大きな違いがあります。
iPhone 16eは、省電力性能に優れたApple独自設計のA18チップを搭載。さらに、Apple製の5Gモデム「C1」を搭載することで、通信時の電力効率も改善されており、6.1インチのiPhoneとしては過去最高の電池持ちを実現しています。
一方で、GSM Arenaの電池持ちシミュレーションでは、Pixel 9aと同じTensor G4を搭載し、より小さなバッテリーのPixel 9がiPhone 16eを上回っています。これを考慮すると、電池持ちはPixel 9aの方が優れていると予想されます。
いずれにしても、日常的な使い方であれば、どちらも1日は余裕で使えるはずです。
充電性能の違いは?
両機種とも充電性能は同等で、ワイヤレス充電にも対応しています。ただし、ワイヤレス充電は最大7.5Wまでと出力が低くく、短時間での充電は実用的ではないのが実情です。
- iPhone 16e:有線充電で最高23W程度(実測・非公表)、7.5Wワイヤレス充電、MagSafe非対応
- Pixel 9a:有線充電で最大23W出力(公表)、7.5Wワイヤレス充電
大きさと重さ:片手で操作しやすいのは?
画面サイズはiPhone 16eが6.1インチ、Pixel 9aが6.3インチとほぼ同じ。一方で本体の大きさには明確な差があります。
iPhone 16e | Pixel 9a | |
---|---|---|
高さ | 146.7mm | 154.7mm |
幅 | 71.5mm | 73.3mm |
厚さ | 7.80mm | 8.9mm |
重さ | 167 g | 185.9 g |
Pixel 9aは高さ・幅・厚さともに大きめで、重さも約20g重いため、片手操作ではやや扱いづらく感じることもあります。
特に、手の小さい人や満員電車など片手で操作することは多い人には、軽くてコンパクトなiPhone 16eの方が快適に使えるでしょう。
ディスプレイ:なめらかさと見やすさに違いあり
画面のなめらかさに関わるリフレッシュレートは、iPhone 16eの最大60Hzに対して、Pixel 9aは最大120Hzと大きな差があります。
また、Pixel 9aは常時表示機能にも対応。画面に触れなくても、通知・時間・天気・バッテリー残量などをすばやく確認できます。この機能はiPhone 16eには搭載されていません。
スクロールやスワイプの操作をなめらかにしたい人や、対応ゲーム・映像コンテンツをより快適に楽しみたい人には、Pixel 9aがおすすめです。
また、Pixel 9aは最大輝度が高く、画面が明るいため、晴れた日の屋外や日差しの強い窓際などでも、画面が見やすく視認性が高いというメリットがあります。
画面をキズや落下から守るカバーガラスには、以下が採用されています。
- iPhone 16e:Ceramic Shield(セラミックシールド)
- Pixel 9a:Gorilla Glass 3
どちらも古い世代で対傷性には限界があります。筆者の経験として気をつけて使っていても、いつの間にか細かいキズがついてしまうため、ガラスフィルムなどの保護アイテムを併用することをオススメします。
カメラ:夜間にも強いのはPixel 9a
カメラには大きな違いがあります。
iPhone 16eのシングルカメラに対して、Pixel 9aは広角+超広角カメラのデュアルカメラを搭載。風景や建物、集合写真などもワイドに撮影できます。
どちらも48メガピクセルの広角カメラを搭載していますが、画質に大きく影響するイメージセンサーはPixel 9aの方が大型。そのため、夜間や暗い屋内でもノイズを抑えて明るく撮影できます。
以下の撮影モードやAI編集を考慮すると、カメラが優れているのはPixel 9aと評価できます。


ポートレートモード
両機種とも背景をぼかすポートレートモードに対応していますが、細かな違いもあります。
- Pixel 9a:ハードウェア+AIによるボケ処理で、幅広い被写体に対応
- iPhone 16e:AI処理で背景をぼかすため、人の顔が検知できないと使えない
なお、どちらも動画の背景ぼかしには非対応です。
マクロ撮影と天体写真
Pixel 9aは被写体に数cmまで近づいて撮影できるマクロ撮影にも対応しています。小物や花、料理も接写で綺麗に撮れます。
また、Pixelシリーズならではの天体写真モードにも対応。三脚を使えば星空も手軽に撮影できます。
AI編集
Pixel 9aはAIによる写真・動画の編集機能が充実しています。
- 編集マジック:写真から不要なものを自然に消去、好きな場所に移動も可能
- 音声消しゴムマジック:動画内のノイズを除去し、聞きたい音だけを強調できる
iPhone 16eも写真内の不要なものを消せる「クリーンアップ」に対応していますが、精度の面では編集マジックには及びません。




エコシステム

iPhoneを選ぶ最大のメリットは、Apple製品同士がスムーズに連携する「エコシステム」の存在です。
Appleはハードウェア・ソフトウェア・チップセットのすべてを自社で手がけており、他のメーカーにはない強力な連携を体験できます。
以下は、代表的なエコシステムの機能です。
- AirDrop
- Appleデバイス間で写真と動画を転送できる
- ユニバーサルクリップボード
- iPhoneやiPadでコピーしたテキストがMacにもコピーされてペーストできる。逆も可能
- ユニバーサルコントロール
- MacやiPadで利用しているキーボード、マウス、トラックパッドを共有できる
- iPhoneミラーリング
- iPhoneの画面がMacに表示され、iPhoneの通知もMacに表示される。LINEの通知をクリック後、そのままMacから返信も可能
- インスタントホットスポット
- MacからiPhoneのインターネット共有をオン/オフできる
- AirPodsの自動切り替え
- AirPodsが使用中のAppleデバイスを自動検知して接続を切り替える
- iCloudキーチェーン
- 保存したパスワードやパスキーなどのログイン情報がiCloudを通じて同期され、自動入力できる
- iPhoneの通話をMacやiPadで受ける
- 自動ロック解除
- ロックを解除したApple Watchを身につけている間は、iPhoneとMacのロックが自動で解除される
- iPhoneでApple Watchのロックを解除することも可能
Androidにもエコシステムは存在しており、メーカーが独自に提供している機能もありますが、ここまで幅広い機能を提供しているのはAppleぐらいです。
これは、優れたエコシステムを提供するには、すべてを自社で設計・最適化する必要があり、それを実現できるメーカーがApple以外に存在しないことが理由です。
すでにiPad・AirPods・Apple Watchを使っている、あるいは購入を検討しているなら、iPhone 16eをオススメします。
Appleのエコシステムも万全ではなく、特にMacBookからiPhoneのインターネット共有をオンにできる「インスタントホットスポット」がうまく動作しないとの声も聞かれます。
筆者もIntel時代のMacではこの事象に困っていましたが、Appleシリコンへの移行後はそういった問題を確認していません。不満はユニバーサルコントロールがすぐに途切れてしまうことと、ユニバーサルクリップボードが不安定なことぐらいです。
顔認証と指紋認証
スマートフォンのロック解除には、顔認証と指紋認証などの生体認証が採用されています。
iPhone 16eは、Face IDでおなじみの顔認証に対応しています。マスク着用時や暗い場所でも解除しやすくなっていますが、指紋認証には対応していません。
暗い場所や寝ながら使ったりすると顔が認識されづらく、机に置いたままではロックが解除しにくいなど、不便さを感じることも多々あります。

一方、Pixel 9aは顔認証と指紋認証の両方に対応しています。
手が汚れているときは顔認証で素早く解除し、マスクをしているときや寝起きで顔認証がうまくいかないときは指紋認証で解除するといった使い分けも可能。
指紋センサーは画面内に内蔵されているため、見た目もスマートで電源ボタン内蔵式よりもはるかに快適です。
価格と容量
iPhone 16eの価格は99,800円から。容量は128GB / 256GB / 512GBの3種類から選べます。大容量も選べるのは大きな魅力です。
また、キャリアで購入する場合、端末の返却を条件とした端末購入サポートプログラムを利用することで、月額1円・総額24円で入手できる場合もあります。

一方、Pixel 9aの容量は128GBと256GBの2種類。512GBを選ぶことはできません。
販売価格はまだ発表されていませんが、米国では前モデルと同じ499ドルと発表されています。
では、日本での販売価格はいくらになるのでしょうか。
Pixel 9aの発表時点での為替は1ドル149.69円。Pixel 8aの発表時(1ドル156.4円)と比べて円高が進んでいるため、値下げの可能性も考えられます。
ただし、Googleは独自の為替レートを用いており、Pixel 8aでは1ドル132.3円、Pixel 9 / 9 Pro / 9 Pro XLでは1ドル145円前後のレートが使われていました。
この傾向から予測すると、Pixel 9aの日本価格はPixel 8aの72,600円よりも安くなり、79,590円まで値下げされる可能性もあります。
ただし、最終的な価格は日本での公式発表を待つ必要があります。
まとめ:どちらを購入すべきか
Pixel 9aとiPhone 16eは、どちらも手ごろな価格で購入できるコストパフォーマンスに優れたスマートフォンです。ただし、注目するポイントによって、オススメは変わってきます。
- 軽さや片手操作しやすいスマホが欲しい
- 数年後も快適に使えるiPhoneが欲しい
- 周りの家族や友だちがiPhoneを使っている
- Apple製品を使っている
- カメラ性能が良いスマホが欲しい
- 顔と指紋、両方で認証したい
- なめらか動作のディスプレイは欠かせない
- AIを活用した写真や動画の編集に興味がある
iPhone 16eは、片手で扱いやすいコンパクトなサイズ感に加え、基本性能の高いA18チップや、AirDropをはじめとするApple製品との便利な連携機能が大きな魅力です。
日本では10代・20代の女性の8割以上、20代男性の約7割がiPhoneを使用するなど、若い世代を中心に圧倒的な人気があり、わからないことがあれば友だちに聞いたり、便利な活用方法を共有できるのは大きなメリットです。
一方、Pixel 9aは、4色から選べるカラフルなボディ、高性能なデュアルカメラ、120Hzのなめらかディスプレイ、Google Pixel史上最大のバッテリーを搭載。さらに、7年間のアップデート保証など実用性の高さが特徴です。
Androidのシェアは男性で30代以降、女性で40代以降になると、シェアが過半数を超える傾向があり、周りに合わせてiPhoneを持つメリットは薄れていきます。
どちらを選んでも、それぞれにしかない魅力があります。好みや使い方に合う方を選ぶようにしましょう。


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