どっちを買う?Pixel 9aとNothing Phone (3a)の違いを徹底比較
Yusuke Sakakura

Yusuke Sakakura
ブログメディア『携帯総合研究所』の創設者・運営者です。記事の執筆をはじめ、各キャリアやメーカーへの取材、素材の撮影も行なっています。システムエンジニアとしての経験を活かし、HTML・CSS・JavaScript・PHP・Pythonを用いたサイトデザインやテーマの構築を行っています。また、4キャリアの料金比較ができるシミュレーターの開発も担当しています。

ついにNothingの新モデル「Nothing Phone (3a)」が発表されました。透明な背面デザインや独自のGlyphインターフェースなど、他にはない個性を持つNothingシリーズですが、Phone (3a)は日本市場をより意識した1台に仕上がっています。
一方、同じタイミングでGoogleからは「Google Pixel 9a」が登場。ミドルレンジながら、Google独自のAI機能や高性能カメラを備えた人気シリーズの最新モデルです。
価格帯には差があるものの、どちらもおサイフケータイやeSIMといった国内利用において重要な機能に対応していることから、どちらを選ぶか悩ましいライバル関係にあります。
本記事では、そんなNothing Phone (3a)とPixel 9aを、性能・使い勝手・価格の面から徹底比較。どちらを選ぶべきか、あなたにとって最適な一台を見つける手助けをします。
Pixel 9aとNothing Phone (3a)の違いまとめ
Pixel 9a | Nothing Phone (3a) | |
---|---|---|
大きさ |
|
|
重さ | 185.9 g | 201g |
画面サイズ | 6.3インチ | 6.7インチ |
カメラ | デュアルカメラ | トリプルカメラ |
チップ | Google Tensor G4 | Snapdragon 7s Gen 3 |
メモリ | 8GB | 8GB / 12GB |
バッテリー容量 | 5,100mAh | 5,000mAh |
充電出力 | 23W | 50W |
ワイヤレス充電 | 対応 | 非対応 |
Wi-Fi | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 6 |
Bluetooth | 5.3 ダイバーシティ対応 | 5.4 |
デュアルバンドGNSS | 対応 | 非対応 |
防水・防じん | IP68 | IP64 |
アップデート保証 | 7年間 | 3年間のOS+6年間のセキュリティアップデート |
デザイン:シンプルvs目を惹く遊び心
もっとも大きな違いはデザインです。
Pixel 9aは、Google Pixelシリーズの象徴となっていたカメラバーを廃止。背面の出っ張りがなくなったことで、机に置いたときもガタつかずに安定感があります。フレームには、指紋がつきにくく、さらっとした手触りのマット仕上げを採用。無駄のないシンプルでミニマルなデザインが特徴です。
カラーバリエーションは、個性的なIrisやPeonyに加えて、定番のObsidianやPorcelainも用意。好みに合わせて選びやすい4色がラインアップされています。


一方、Nothing Phone (3a)は、あえて内部構造を見せるようなスケルトンデザインが大きな特徴です。
背面上部には、ワイヤレス充電コイルのような円形のパターンが配置され、その周囲を囲むようにLEDライトが埋め込まれています。カメラモジュールは、この円形の中心に収められていて、3つのレンズが横に並びます。
さらに、背面下部には、回路基盤を思わせるライン状のパターンが細かく施されており、まるでスマートフォンの中身を覗いているかのような印象を与えます。シルバーのビスや金属プレート、赤いドットなどのアクセントも加わり、精密機器らしさと遊び心が同居した独自のデザインに仕上がっています。
カラーバリエーションはブラックとホワイトの2色に加え、楽天モバイル限定でブルーも発売されます。
洗練されたシンプルさを選ぶか、目を惹く個性と遊び心を取るか。デザイン面でも、ユーザーの好みが大きく分かれるポイントです。
大きさ:動画・ゲームか、操作性か
本体サイズと画面サイズにも違いがあります。
Nothing Phone (3a)は、6.7インチの大画面ディスプレイを搭載。動画視聴やゲームを迫力のある大画面で楽しみたい人におすすめです。

一方、Pixel 9aは、6.3インチのややコンパクトなディスプレイを採用。横幅は73.3 mmと手に収まりやすく、さらに重さは約15gも軽いため、片手操作のしやすさを重視する人にはPixel 9aがおすすめです。
使い方のスタイルに応じて、「大画面の没入感を取るか」「扱いやすさを取るか」が選択のポイントになります。
カメラ:高度なAI補正と多彩なレンズ

Pixel 9aは、広角+超広角のデュアルカメラを搭載。
画素数やセンサーサイズこそ控えめですが、Google独自の高度な画像処理が大きな武器です。撮影後の補正や編集が強力で、シャッターを切ったあとに理想の1枚に仕上げることができます。
- 編集マジック:選択した被写体の移動・削除・拡大。曇り空を晴天にできる機能
- オートフレーム:写真の見切れた部分を生成AIで追加する機能
- 音声消しゴムマジック:撮影後に動画のノイズを消したり、必要な音を強調できる
- ボケ補正:昔撮影した写真もピンボケを補正できる機能
- シネマティック撮影:背景をぼかしながら動画撮影できる機能
一方、Nothing Phone (3a)は、広角+超広角+望遠のトリプルカメラ構成。
Pixel 9aにはない望遠レンズを搭載し、光学2倍ズームと最大4倍のロスレスズームに対応しています。より遠くの被写体も、高精細なまま撮影できるのが大きな魅力です。
メインカメラには、Pixel 9aよりも大型のセンサーを採用。夜間やうす暗い室内でも明るくノイズの少ない写真が撮れます。また、望遠レンズは最短25cmまで近づいて撮影が可能。マクロモードこそ対応していないものの、ほぼマクロ撮影が可能です。
実際の撮影サンプルは後日掲載予定です。使用感と合わせて、より詳しくお伝えします。
処理性能:Google Tensor G4 vs Snapdragon 7s Gen 3
スマートフォンの快適さを左右するチップセットは、両モデルの価格差が現れやすいポイントです。
Pixel 9aには、Googleが独自開発した最新チップ「Google Tensor G4」を搭載。ハイエンドチップとしては控えめな基本性能ながら、高度なAI処理に特化しているのが最大の強みです。
一方、Nothing Phone (3a)は、市販のミッドレンジ向けチップ「Snapdragon 7s Gen 3」を採用しています。
性能を数値化したベンチマークスコアを以下にまとめました。
Google Tensor G4 | Snapdragon 7s Gen 3 | |
---|---|---|
Geekbench 6 |
|
|
AnTuTu | 1,004,239 | 828,429 |
上記のスコアからもわかるとおり、CPU、GPUともにPixel 9aの方が大きく上回っており、AnTuTuでも約20万点の差があります。Pixel 9aであれば、ハイエンドゲームも快適にこなせるうえ、数年後もストレスなく使い続けられる性能といえます。
また、どちらの機種も長時間の使用を見据えた発熱対策として「ベイパーチャンバー」を搭載しています。
Pixel 9aは熱伝導率の高い銅素材を採用しているようです。一方で、Nothing Phone (3a)はスチール製を採用しているものの、サイズが大きいことが特徴です。
この冷却性能とチップ性能の違いが実使用でどう影響するのか、実機が手元に届き次第、追記・検証します。


AI:高度なAI、多彩なAI
Pixel 9aは独自チップによって、写真編集、音声処理、通話、画像生成など、多彩で高度なAI機能を活用できます。特にオンデバイスAIの強化により、プライバシーを保ちながらも、リアルタイムに処理ができる点が特徴です。
代表的なAI機能は以下のとおりです。
- リアルタイム字幕:動画の音声をリアルタイムで文字起こし。音が出せない場所でも内容を把握可能
- リアルタイム文字起こし:レコーダーアプリで録音と同時に音声を自動文字起こし
- Pixelスタジオ:思い浮かんだアイデアをテキストで入力するだけでオリジナルの画像を生成
- 通話スクリーニング:知らない番号の着信にAIが応答。相手の名前や要件を確認して画面上に表示し、迷惑電話や詐欺を回避できる
- Gemini Nano:画像や通話内容など、プライバシー性の高いデータもクラウドを介さず安全に処理
一方、Nothing Phone (3a)は、独自のAI機能「Essential Space(エッセンシャルスペース)」を搭載。Nothingはこの機能を“第2の記憶”と表現しています。
人間の脳が日々の出来事を記憶し、必要なときに取り出せるように、Essential Spaceは日常生活で気になったイベントや商品、思いついたアイデアなどをAIが記憶・整理してくれる仕組みです。
使い方は簡単。右側面のEssential Key(エッセンシャルキー)を押すと、表示中の画面がスクショされ、その内容がAIによって分析・記憶・整理されます。

- 長押しでボイスメモの録音
- カメラ起動中に押すとイベントポスターなどカメラで写したものを記録
- 2回押しでEssential Spaceを呼び出し、記憶した情報を一覧で確認可能
テキスト・音声・写真・スクショといったあらゆる方法でメモした内容がひとつの場所に保存・整理されるため、記憶を辿るのも簡単です。
興味深いのは、このEssential Spaceが、Pixel 9aが対応していない「Pixelスクリーンショット」によく似た体験を提供しているということ。
さらに、Essential Spaceは記憶した情報をもとに何をしたら良いのか提案するなど、行動につながるAI体験へと昇華している印象もあります。
電池持ちと充電:急速充電か、ワイヤレス充電か
電池持ちは、スマートフォン選びにおいて最も重要な要素のひとつです。
Pixel 9aは5,100mAhの大容量バッテリーを搭載。Googleによれば、通常時は最大30時間、機能を制限する「スーパーバッテリーセーバー」使用時は最大100時間の電池持ちを実現していて、普段使いであれば、1日は余裕の電池持ちが期待できます。
ワイヤレス充電にも対応しています。7.5Wと控えめですが、寝ている間や作業中に「置くだけで充電できる快適さ」は、
一方、Nothing Phone (3a)のバッテリーも大容量の5,000mAhです。Nothingによれば、音声通話で約44時間、YouTube視聴で約25時間、ゲームプレイで約10時の使用が可能とのこと。こちらも1日以上の使用に十分耐えるバッテリー性能を備えています。
最大の強みは、最大50Wの急速充電です。19分で50%、56分でフル充電というスピードは、充電を忘れていた朝でも、1日使うために十分な量を短時間で充電できます。ただし、ワイヤレス充電には対応していません。
置くだけ充電の快適さを重視するか、スピードを優先するか。どちらのスタイルが自分に合っているかで選びたいポイントです。
その他:正確な位置情報やWi-Fiの快適さは?
スペック表では細かく見えがちな項目も、実は使い勝手に直結する重要なポイントです。主な違いは以下のとおりです。
- Wi-Fi:Pixel 9aはWi-Fi 6Eに対応。6GHz帯により、高速安定したWi-Fi通信が可能。Phone (3a)はWi-Fi 6どまり
- Bluetooth:Phone (3a)は最新のv5.4をサポート。Pixel 9aはBluetooth 5.3ながらダイバーシティ対応で接続の安定性に優れる
- 位置情報:Pixel 9aはデュアルバンドGNSS対応で、建物の多いエリアでも高精度の位置情報が利用できます
- 防水・防じん:Pixel9 aはIP68で水没に耐える性能。Phone (3a)はIP64で、軽い水しぶきの耐性にとどまります。
これらは普段あまり意識しない機能ですが、Wi-Fiの快適さ、降雨時の安心感、ポケモンGOなど位置情報ゲームやナビ精度の違いなど、日々の使い勝手や快適さにじわじわと効いてくる違いです。長く使ううちに差がつくポイントと言えます。
まとめ:Pixel 9aとNothing Phone (3a)、どちらを選ぶべきか?

Pixel 9aとNothing Phone (3a)は、特徴や強みが大きく異なるスマートフォンです。公式ストアでの販売価格はPixel 9aが79,900円〜、Nothing Phone (3a)が54,800円〜です。
価格差は約25,000円。この価格差をどう捉えるか、そして自分がスマートフォンに何を求めるかによって、選ぶべきモデルが変わってきます。
- より高性能なチップで、重めのアプリやゲームも快適に使いたい
- 写真や動画をAIで手軽にきれいに仕上げたい
- 通話や文字起こしなど、日常の操作もAIで快適にしたい
- IP68の防水やデュアルバンドGNSSなど、堅実な安心感を重視したい
- 長期間のアップデート保証(7年間)で、長く使いたい
- 大画面で動画やゲームを楽しみたい
- トリプルカメラでズームやマクロ撮影にもこだわりたい
- デザインの個性やスケルトン仕様に魅力を感じる
- 急速充電やEssential Spaceなど、新しい体験を試してみたい
Pixel 9a、実用性と信頼性を重視する“賢い選択”。Nothing Phone (3a)は、個性と遊び心を楽しむ“感性で選ぶ一台”と言えます。
性能やAIの使い方だけでなく、「スマホをどう使いたいか」を考えることで、自分に合った1台がきっと見えてくるはずです。

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