Xiaomi 15 / 15 Ultraレビュー:画質の違いは?カメラ特化か、快適さか、選べる2択
Yusuke Sakakura

Yusuke Sakakura
ブログメディア『携帯総合研究所』の創設者・運営者です。記事の執筆をはじめ、各キャリアやメーカーへの取材、素材の撮影も行なっています。システムエンジニアとしての経験を活かし、HTML・CSS・JavaScript・PHP・Pythonを用いたサイトデザインやテーマの構築を行っています。また、4キャリアの料金比較ができるシミュレーターの開発も担当しています。

日本初の常設店舗Xiaomi Storeのオープンをはじめ、今もっとも注目を集めているスマホメーカーのひとつ、シャオミ。そんなシャオミから、最新のフラグシップモデル「Xiaomi 15」シリーズが登場しました。
最大の注目ポイントは、Leicaと共同開発された新世代のカメラシステム。特に最上位モデルの「Xiaomi 15 Ultra」には、2億画素の望遠カメラを含む強力なクアッドカメラが搭載され、これまでにない撮影体験を可能にします。
さらに、今年は片手に収まるサイズ感とLeicaクオリティを両立した「Xiaomi 15」が、日本で初めて正式展開される点も大きなトピックです。
今回は発売に先がけて、実機を約10日間使用することができました。日常使いで感じた操作性から、カメラ性能、電池持ち、そしてシア部の仕上がりまで。Xiaomi 15シリーズの魅力をじっくりレビューしていきます。
デザイン:今年は“より”コンパクトなモデルも選べる
Xiaomi 15シリーズの共通点は多くありません。Leicaのカメラシステムや最新のチップセットを除けば、見た目や使い勝手には大きな違いがあります。
Xiaomi 15 Ultraは、背面に大きく張り出したカメラユニットが印象的で、撮影の際に横向きで構えた姿はもはやスマートフォンというよりもコンデジに近い見た目です。


後述する圧倒的なカメラ性能と引き換えに、スマホとしての操作性を手放しています。端末のウェイトバランスは上部に偏っていて、片手操作では手から滑り落ちそうになることも。長文入力も快適とは言えず、カメラ特化の設計が日常使いに与える影響は少なくありません。
また、カメラユニットが巨大なため、ポケットから取り出すときに引っかかりやすく、落としそうになることもありました。
カラーバリエーションは、マーブル模様のホワイト、赤いデコリングが映えるブラック、そしてPUレザーとメタルの質感が映えるシルバークロームの3色。
全色を手に取ったうえでのおすすめはブラックです。他の2色はカメラユニットの存在感が際立つのに対し、ブラックは背面に自然と溶け込みます。
カメラ性能に振り切りすぎず、スマホとしての扱いやすさも求めるなら「Xiaomi 15」がおすすめです。


一般的なスマートフォンらしいデザインにLeicaのカメラシステムを組み合わせたことで、より多くの人に受け入れられる見た目に仕上がっています。
サイズ感と重さも良好です。これまでレビューしてきた数々のスマホの中でも、6インチスマホとしてはベストだと評価するiPhone 15 Proに近いフィット感があり、大型のスマホに不満を持つユーザーにもおすすめできます。
約10日間、Xiaomi 15とXiaomi 15 Ultraの両方を持ち歩いていましたが、カメラを使わない場面では、体感で9割以上のシーンでXiaomi 15に手が伸びていたのが正直なところです。
とはいえ、Xiaomi 15はコンパクトモデルとは言えません。
高さ | 幅 | 厚さ | 重さ | |
---|---|---|---|---|
Xiaomi 15 | 152.3mm | 71.2mm | 8.08mm / 8.48mm | 191g / 192g |
iPhone 16 Pro | 149.6mm | 71.5mm | 8.25mm | 199g |
iPhone 15 Pro | 146.6mm | 70.6mm | 8.25mm | 187g |
Pixel 9 Pro | 152.8mm | 72mm | 8.5mm | 199g |
Zenfone 10 | 146.5mm | 68.1mm | 9.4mm | 172g |
iPhone 13 mini | 131.5mm | 64.2mm | 7.65mm | 140g |
上の表からもわかるとおり、Xiaomi 15はiPhone 15 Proよりもひとまわり大きく、幅もiPhone 16 Proと同等です。Zenfone 10やiPhone 13 miniといった“ハイエンドな真のコンパクトモデル”と比べると、その違いは明らかです。
これらのモデルは、片手で快適に操作できる5インチ台のディスプレイを搭載する一方で、動画視聴やゲームといった需要の高い利用シーンには不向きでした。また、バッテリー容量が小さく電池持ちが悪かったことで、求める声の大きさの割に売れず、各スマホメーカーが撤退することに。
一方、Xiaomi 15の画面サイズは、動画視聴やゲームを楽しむのに十分な6.36インチ。バッテリーも大容量です。
Xiaomiがコンパクトと表現しているのは、あくまで大型のXiaomi 15 Ultraと比べて小型という趣旨であり、市場全体で見ればスタンダードなサイズに分類されます。
カメラ:Leicaカメラシステムの実力は?
Xiaomi 15シリーズの最大の特徴は、やはりLeicaカメラシステムです。
両機種に同じカメラが搭載されているわけではなく、撮影の幅を広げるレンズの数、画質に直結するイメージセンサーなど、ハードウェアのカメラ性能では、Xiaomi 15 Ultraが大幅に上回っています。
- 50MP メインカメラ (23mm)
- LYT-900イメージセンサー (1インチ)
- 3.2μm 4-in-1スーパーピクセル
- ƒ/1.63
- 200MP ウルトラ望遠カメラ (100mm)
- 1/1.4インチ
- 2.24μmスーパーピクセル
- ƒ/2.6
- 50MP 望遠カメラ (70mm)
- 1/2.51インチ
- 1.4μm 4-in-1ピクセルサイズ
- ƒ/1.8
- 50MP 超広角カメラ (14mm)
- 1/2.76インチ
- 1.28μm 4-in-1ピクセルサイズ
- ƒ/2.2
- 50MP メインカメラ (23mm)
- Light Fusion 900イメージセンサー (1/1.31インチ)
- 2.4μm 4-in-1スーパーピクセル
- ƒ/1.62
- 50MP 望遠カメラ (60mm)
- 1/2.76インチ
- ƒ/2.0
- 50MP 超広角カメラ (14mm)
- 1/2.76インチ
- ƒ/2.2
なかでも注目なのはXiaomi 15 Ultraに搭載されているペリスコープ構造を採用したウルトラ望遠カメラです。画素数は従来の50メガピクセルから200メガピクセル(2億画素)へと4倍に増加しました。
これにより、14mmから200mmまでの焦点距離を光学レベルでカバー。さらに、400mm相当もロスレスで撮影できます。実際に撮影してみると実用範囲は30倍まで。それを超えると油絵のような見た目になることがあります。
一方でズーム倍率は従来の5倍から4.3倍に変更されていますが、5倍ズームは被写体との距離が近すぎて後ずさりする場面も多く、扱いにくさを感じることも多々あります。これは単なるグレードダウンではなく、実用性を重視した最適化と捉えるべきでしょう。







最大の魅力は、やはりLeicaならではの絵作りにあります。
常に特別な絵作りを感じられるわけではないものの、その効果が発揮されるときは、被写体の質感や立体感、空気感のようなものまで繊細に描写され、他のスマートフォンとは一線を画す表現力があります。







最近のスマホカメラは、人間が明るい写真=良い写真と認識しやすい傾向を踏まえて、全体的に明るく仕上げる傾向があります。
一方で、Leicaの絵作りはシャドウをしっかり落とし、明暗のコントラストを効かせることで重厚感のある写真になります。
気になったのは広角カメラや3倍望遠カメラの被写界深度が浅いこと。また、暗所では手ぶれや被写体ぶれも起きやすく、手ブレやピントの甘さに悩まされることも。
また、暗所撮影ではHDRとシャープネスがやや過剰に効く傾向があり、車のヘッドライトや街灯などが、すべて長時間露光のように表現される光の描写は好みが分かれるかもしれません。
Xiaomi 15 vs Xiaomi 15 Ultra:画質を比較
多くの人が最も気になっているのは、Xiaomi 15とXiaomi 15 Ultraの画質の差だと思います。
以下の写真を見てわかるとおり、色の表現・ディテール・明るさなど、大きな違いがあります。














バッテリー:コンパクトながら電池持ちは超優秀
Xiaomi 14 Ultraの課題は電池持ちでした。
筆者が毎回実施しているバッテリーテストでは、わずか3-4時間しか持たず、旅行で思い出を記録するには、モバイルバッテリーが欠かせない状況でした。
その反省を踏まえてか、Xiaomi 15 Ultraのバッテリー容量が5,000mAhから5,410mAhへと増量されています。
残念ながら、レビュー期間の関係でXiaomi 15 Ultraの電池持ちを実際にテストすることはできませんでしたが、先行して発売された海外メディアのレビューでは、バッテリー性能の向上が高く評価されています。

コンパクトモデルながら5,240mAhの大容量バッテリーを搭載するXiaomi 15についてはバッテリーテストを行う機会がありました。
朝6時に使用を開始し、メールやSNSのチェック、取材へ向かう際の乗換検索、10時スタートの取材では、100枚以上の写真を撮影。昼休憩の12時30分時点でバッテリー残量は60%に。その後も300枚の写真を撮影し、14時30分には残量30%に。さらに、2本の記事を書き上げた18時過ぎには、バッテリー残量が9%となっていました。
モバイル通信(4G/5G)を使いながらのヘビーな使用にもかかわらず、13時間を超える稼働時間を記録するなど、Xiaomi 15の電池持ちはかなり優秀と評価できます。
また、両機種とも最大90WのXiaomiハイパーチャージに対応しており、フル充電までに要した時間は50〜60分程度。また、ワイヤレス充電に対応していますが、国内モデルにおける対応出力は明かされていません。海外では80Wと案内されていますが、日本では法的な問題で出力が抑えられている可能性が高いと考えられます。
AIとインターフェース:伸びしろはココ
チップセットは2025年上半期としては最高クラスSnapdragon 8 Eliteを採用。十分な容量のメモリを搭載しています。
処理性能は申し分なく、ハイエンドゲームやLightroomを使った写真編集も快適に動作します。さらに、独自の冷却システムによって高いパフォーマンスが長い時間、持続します。
- Xiaomi 15:Xiaomi Wing型IceLoopシステム
- ウィング形状により、ループヒートパイプとフレームの接触面積が増加。熱の放散効率が大幅に向上した
- Xiaomi 15 Ultra:Xiaomi 3Dデュアルチャネルアイスループシステム
- チップセットとカメラの冷却ループを分割することで、効率的に熱を拡散するシステム
トレンドのAIは、Geminiや「かこって検索」といったGoogleの最新AIに対応。文章作成や文字起こし対応のボイスレコーダー、写真から不要なものを消すことができるAI消しゴムPro、見切れてしまったエリアをAIで生成する画像拡張といった独自のAI機能にも対応しています。


最大の伸びしろは、インターフェースにあります。
まず気になったのがデザイン。ホーム画面に並ぶポップなアプリアイコンは、RedmiブランドやXiaomi Tシリーズといったエントリーモデル〜ミッドレンジモデルとは相性が良いものの、Leicaのカメラシステムを搭載したフラグシップモデルとは世界観が一致していないように感じます。

HyperOS 2にはテーマ機能が用意されているため、フラグシップにふさわしい落ち着いたデザインの専用テーマを用意し、初期設定で適用しておいて欲しいところです。
次に気になったのはアプリスイッチャー。
標準のAndroidでは、アプリのサムネイルが起動した順に右から並び、左右のスワイプで簡単に切り替えられます。これはGoogle Pixelをはじめ、Galaxy、Xperiaなど多くのAndroid、さらにiPhoneにも共通する設計です。
一方、HyperOS 2では、アプリが縦2列で表示され、左上から順に並ぶレイアウトを採用。アプリのサムネイルをスワイプするとアプリが終了する仕様です。
標準のアプリスイッチャーに慣れていると、アプリを切り替えるつもりが終了してしまうため、初めてXiaomiのスマートフォンに触れた人にとっては戸惑いやすいUIです。

もちろん、標準の方式に変更することも可能ですが、アプリスイッチャーは日常的に何度も使う機能であり、日本初の常設店となるXiaomi Storeをオープンし、今後も拡大する方針を示している今、初めてXiaomiのスマートフォンに触れる人が増えことを考えると、多くの人が慣れている方式をデフォルト採用して欲しいところです。
HyperOS 2は、シャッター音を消去できるなど、他社のスマホにはない魅力的な機能も提供しています。カスタマイズ性が高い一方で、初期状態のままだと操作性にやや難がある点は否めません。
まとめ:カメラ性能か、バランスか。選べるフラグシップ

- 片手に収まる“より”コンパクトなサイズ
- 10万前半で楽しめるLeicaカメラシステム
- 十分な電池持ち
- 初期状態では扱いにくく感じることが多いHyperOS
- FeliCa/おサイフケータイ非対応

- 一線を画す表現力を持つLeicaクアッドカメラシステム
- 幅広い焦点距離をカバーする2億画素のウルトラ望遠カメラ
- プレミアムながら20万円を大きく割る価格
- 犠牲になったスマホとしての操作性
- 初期状態では扱いにくく感じることが多いHyperOS
- FeliCa/おサイフケータイ非対応
Xiaomi 15 Ultraは、圧倒的なカメラ性能を追求した1台です。
Leicaと共同開発したカメラシステムは、Leicaならではの絵作りや200メガピクセルのウルトラ望遠カメラをはじめ、幅広い焦点距離を光学レベルでカバーし、スマートフォンの枠を超えた撮影体験が楽しめます。
さらに、部材高騰や円安によって値上げが予想される中、前モデルから2万円も値下げされたのは驚きです。期間限定ながら、フォトグラフィキットが無料で付属するキャンペーンも見逃せません。
一方のXiaomi 15は、Leicaのカメラシステムを搭載しながら、スマートフォンとしての扱いやすさやサイズ感を重視したモデルです。普段使いの快適さや携帯性を重視する人にとっては、こちらの方が日常に自然と馴染む選択肢になります。
注意点はどちらのモデルもFeliCa/おサイフケータイには非対応ということ。グローバルでの発売からまもなく日本でも発売した結果と見られます。
タッチ決済がどうしても欠かせない場合は、Google Pixel WatchやFitbitなど、Suica対応のスマートウォッチやトラッカーを併用するのも1つの方法です。
カメラ性能に振り切るか、スマホとしてのバランスを取るか。Xiaomi 15シリーズは、求める体験に応じて、最適な1台を選べるフラグシップモデルです。この春、スマートフォンの買い替えを検討しているなら、間違いなく候補に入れておきたい存在と評価できます。

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