Galaxy Z Flip7 レビュー/ハンバーガースタイルの最適解
Yusuke Sakakura

Yusuke Sakakura
ブログメディア『携帯総合研究所』の創設者・運営者です。記事の執筆をはじめ、各キャリアやメーカーへの取材、素材の撮影も行なっています。システムエンジニアとしての経験を活かし、HTML・CSS・JavaScript・PHP・Pythonを用いたサイトデザインやテーマの構築を行っています。また、4キャリアの料金比較ができるシミュレーターの開発も担当しています。

縦に折りたためることから“ハンバーガースタイル”とも呼ばれるFlipフォン。今年は本のように横に開くFoldフォンが注目を集めるかもしれませんが、Galaxy Z Flip7もビッグアップデートになっています。
本体内側のメインディスプレイはさらに大型化し、外側のカバーディスプレイはついにフルスクリーンに。バッテリー容量も増えるなど、これまで指摘されていた弱点の改善が期待できます。
さて、期待どおりの進化を遂げているでしょうか。この記事でチェックしていきます。
カバーディスプレイ/ついに全面に拡大、端から端までアクティブに
最大のアップデートはカバーディスプレイです。
これまでは2つのカメラレンズを避けるように、ディスプレイが広がっていましたが、ついに全面に拡大。リフレッシュレートも最大120Hzに対応し、屋外でも見やすい高輝度になりました。

本体の端から端まで表示領域になったことで、時刻や通知をチェックしたり、ファインダーがわりにして写真や動画を撮影するなど、すべての操作性が改善されています。
何より素晴らしいのはベゼルが薄くなり、見た目がスタイリッシュに進化したことかもしれません。
ハードウェアが大きく改善されたのに対して、ソフトウェアはそれほど変わっていません。
これまでと同じようにカバーディスプレイで起動できるアプリは大幅に制約されていて、すべてのアプリを起動するには、Galaxy StoreからMultistarをダウンロード後、設定画面から好きなアプリを追加する必要があります。
しかし、この方法はささいなヒントしかないため、初めてZ Flipを使う人はもちろん、ある程度慣れている人でも気づきにくい裏ワザのような扱いになっています。

カバーディスプレイが全面に広がったとはいえ、カメラの配置によって右下の一部が見えづらくなる、タッチが反応しづらいといった課題も残っています(表示設定を変更すれば回避可能です)。
Samsungは、UIが最適化されていないアプリを起動してほしくないのかもしれませんが、PayPayなどのQRコード決済、Nature Remoなどのスマートリモコン、NotionなどのメモアプリでToDoリストを表示できるのはあまりにも便利で、この体験に封をしてしまうのは疑問です。


また、起動するアプリを追加するなど、カバーディスプレイを少しでもカスタマイズしようとすると、本体を開いてメインディスプレイで操作させようとするのも不思議です。
メインディスプレイ/閉じればポップ、開いたらフラグシップに
本体を開くと6.9インチのメインディスプレイが姿を現して、ポップでかわいい雰囲気から、一気にフラグシップの風貌に変化します。
画面サイズの拡大によって、基本操作も動画視聴もカメラの撮影もゲームもすべてが快適になりました。また、シワは今作でもさらに改善されているように感じます。

画面サイズに合わせて本体の幅も71.9mmから75.2mmに広がっています。
内部スペースが拡大したことで、バッテリーはシリーズ史上最大となる4,000mAhから4,300mAhに増量され、電力効率が最適化されたプロセッサと合わせて電池持ちが改善されたようです。
実際の使用感としてはライトな使い方であれば1日は余裕で、朝使い始めても夜寝るまでに20%ぐらい残っていました。
ただし、写真を大量に撮影したり、動画を視聴したり、ゲームをプレイするようなヘビーな使い方では、夕方ごろに充電が必要になります。平日は不要ですが、休日や旅行ではモバイルバッテリーが必要です。
残念ながら劇的な電池持ちの向上を実感できるほどではなかったです。
ただ、Flipフォンの電池持ちの評価が難しいのは、人によって使い方が大きく異なり、それに合わせて電池持ちにも大きな差が出ることです。
というのも内側と外側に画面サイズがまったく違うディスプレイが搭載されていて、筆者のように、通知が来てもできるだけ本体を閉じたまま4.1インチのカバーディスプレイで確認してLINEなどもそのまま返信する場合は、少ない消費電力で済みます。
一方で、通知が来るたびに毎回本体を開いて6.9インチのメインディスプレイでスマホを操作する場合は、消費電力は高くなります。
なお、バッテリーは25Wの有線充電と15Wのワイヤレスで充電できます。有線充電では30分で35%に到達。フル充電には約100分必要でした。お世辞にも早いとは言えません。
AI/折りたたみならではのAI体験も
昨年はじめて折りたたみスマートフォンに統合されたAIは、さらに深く統合されています。
本体を閉じた状態で電源ボタンを2回連続で押すと、Geminiが起動するため、いつでもAIを頼ることができます。
また、途中まで折りたたんだ状態でカメラをこちらに向ければ、今着ている服に似合うアイテムを聞くなど、コーディネートの相談までできるようになりました。
Galaxy Z Flip7ならハンズフリーでGeminiを利用できるため、両手に服を持ってどっちが似合うかな?といった使い方もできます。


Galaxy AIについてはわずかな進化にとどまっています。
写真から不要なものをサッと消せるAI消しゴムは、必要のないもの一発で認識できるようになったものの、いつもちょっとだけ選択する被写体や範囲が足りず、追加選択が必要と感じることがほとんどでした。
ただ、消去したエリアに何かを生成する精度は素晴らしく、パッと見ではわからないほど自然に仕上がります。おそらくGalaxy AIとして最もヒットしてる機能ですが、その理由がわかるほど高精度です。
また、動画に収録された音声を細かく分類して、音量を小さくできるオーディオ消しゴムは、写真・動画アプリのギャラリーだけでなくボイスレコーダーやSamsung Notes、通話録音でも利用できるようになりました。貸出期間の影響でこの機能を試せなかったのが残念です。
一方で、Now BarとNow Briefは大きな進化を感じませんでした。
Now Barはカバーディスプレイに対応したことで、より身近な存在になり、Googleマップのルート案内やUber Eatsの配達状況がリアルタイムに確認できるAndroid 16の新機能ライブアップデートにも対応する予定ですが、AIを活用した何かというよりは、単なるウィジェットです。
時間帯に応じて必要な情報を提案してくれるNow Briefは、いつ見ても同じ情報が表示されました。天気予報とリマインダー、そしてYouTubeのショートカットです。
実際は睡眠スコアやドライブ用の音楽プレイリスト、確認していない不在着信、その日撮影した写真や訪れた場所などが表示されます。
Now Briefで表示される情報が役立つものでも、必要なときにスペースを開く習慣が自然と身につかず、便利そうだけど、使わないまま終わってしまいました。
チップセット/SnapdragonからExynosに変更。性能や発熱は大丈夫?
ひとつ懸念があるのはチップセットがSnapdragonからExynosに変更されたことです。
これまでGalaxy Z Flipシリーズには、最高のチップセットが搭載されていました。同時発売されるGalaxy Z Fold7にも、Snapdragon 8 Elite for Galaxyが搭載されていますが、Z Flip7には、自社製のExynos 2500に変更されています。
これは、昨今の部材コスト上昇に対応するためのコストダウンでしょう。
気になる性能をベンチマークアプリで計測したところ以下のようになりました。
Exynos 2500 | Snapdragon 8 Gen3 for Galaxy | Snapdragon 8 Elite for Galaxy | |
---|---|---|---|
機種名 | Galaxy Z Flip7 | Galaxy Z Flip6 | Galaxy Z Fold7 |
Geekbench6 |
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3D Mark |
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AnTuTu |
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最高のチップセットを搭載したGalaxy Z Fold7と比べれば、控えめではあるものの、前モデルから性能と電力効率がしっかり向上しています。Z Flip6で非対応だったSamsung Dexにも対応していて、外部ディスプレイとつなげてPCライクに使うこともできます。
長時間のゲームプレイで性能が低下する現象(サーマルスロットリング)に関わる安定性についても、100%→34%から100%→51%まで大きく改善されています。発熱対策に有効なベイパーチャンバーは前モデルから搭載されているため、これはチップセットの変更がもたらしているのかもしれません。
あくまでもベンチマークの数値ではありますが、実際の操作感でもラグやもたつきは感じられず、快適に使えました。
なお、薄型化が影響しているのか発熱のしやすさは感じるものの、ゲームを長時間プレイしてもラグによるストレスはありません。フルHDで約10分間の動画撮影を行いましたが、途中で録画がストップするといったこともありませんでした。
カメラ/昨年の進化をそのままに

カメラのハードウェアに変更はないものの、Z Flip5でミッドレンジクラスだったデュアルカメラは、Z Flip6にて、Galaxy S24シリーズと同じ50メガピクセルのイメージセンサーを搭載したことで、大きく改善されました。
イメージセンサーが4倍にも高画素になったことで、光学相当の2倍ズームに対応するほか、机の上にある料理や室内で写真を撮影するなど中間距離でも高画質で記録できます。
以下はGalaxy Z Flip7で撮影した作例です。







また、高度な撮影機能として思いどおりに編集して作品風に仕上げられるRAW撮影のほか、明るい部分や暗い部分の情報をできるだけ多く残すことで、後から色味やコントラストを細かく調整できるlog撮影にも対応しています。
まとめ/完成度を高めたFlipフォン

Galaxy Z Flip7は、フツーのスマートフォンに飽きた人やコンパクトモデルの代わりを探している人におすすめです。
何度本体を開閉しても、固いディスプレイをスムーズに折りたためる感覚は新鮮で、カバーディスプレイを操作していると「そのスマホ何?」と注目されることもあります。
スマホが大型化する流れは止められず、ハイエンドのコンパクトスマホ市場からApple、ASUS、Sonyが撤退した今、カバーディスプレイを備えたFlipフォンが代わりになるかもしれません。
旧モデルからの買い替えを検討しているなら、Z Flip5以前のモデルからの買い替えを検討しても良いと思います。
防塵性能がIPX8からIP48に向上したボディに、フルスクリーンになったカバーディスプレイと、より大きなメインディスプレイを搭載。広角カメラが12MPから50MPにアップグレードされ、バッテリー容量も600mAhも増量されます。
約16万円の価格がネックかもしれませんが、キャリアで購入する場合は、端末を返却すると約6〜8万円前後に収まります。実は負担金はGalaxy S25と大きく変わりません。
手に取ればきっと、“折りたためること”の価値に気づくはず。ぜひチェックしてみてください。

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