Pixel 10 / 10 Proレビュー/AIが導く、新しいスマホ体験
Yusuke Sakakura

Yusuke Sakakura
ブログメディア『携帯総合研究所』の創設者・運営者です。記事の執筆をはじめ、各キャリアやメーカーへの取材、素材の撮影も行なっています。システムエンジニアとしての経験を活かし、HTML・CSS・JavaScript・PHP・Pythonを用いたサイトデザインやテーマの構築を行っています。また、4キャリアの料金比較ができるシミュレーターの開発も担当しています。

Googleは昨年のPixel 9シリーズでもAIの可能性を打ち出し、カメラや日常体験に役立つ新機能を数多く投入しました。
日本語対応の遅れにより「真価を発揮するのはこれからだ」と評価しましたが、結局のところ日本語に対応したPixelスクリーンショットもPixelスタジオもあまり使っていません。
そうなったのは、これらはすべてユーザーが自発的に活用しなければならないユーザー主導のツールだからです。
今日発売されるGoogle Pixel 10シリーズには、AIがユーザーを導く“AI主導”の機能が搭載され、これまでにない新しい体験を得られる一台へと進化しています。
その魅力的な新しい体験は昨年と同じ価格で手に入ります。Googleストアでの販売価格は昨年から変わらず128,900円から。またキャンペーンで付与されるストアポイントの有効期限が1年から2年になったのは嬉しいアップデートです。
10世代目、特別なデザインはなし
10世代目を迎えたGoogle Pixelですが、見た目は昨年とほとんど変わりません。
数メートル先からでもGoogle Pixelだとわかる検索バーをモチーフにしたカメラバーを背面に据え、ベースモデルとProモデルで異なる仕上げの背面ガラスとメタルフレームを採用しています。

これから紹介する進化は重量にも現れています。Pixel 10 / 10 Pro / 10 Pro XLはすべて200gを超えました。実際に持ってみるとPixel 10もずっしりしています。
それでもGalaxy S25(162g)やiPhone 16(170g)のような軽量モデルはもう存在しません。軽さを重視するのであれば、下位モデルのPixel 9a(186g)を選ぶ必要があります。
カラーバリエーションは、Pixel 10がIndigo、Frost、Lemongrass、Obsidianの4色です。
Googleは、Indigoについて初代Google Pixelをオマージュしたカラーと説明しています。とは言っても初代モデルは日本未発売だったため、懐かしいより新しいと感じられるかもしれません。
今回レビューで使用したObsidianも昨年と同じ色ではなく、明るいグレー寄りに変化しています。そういう意味ではすべてが新色です。


Pixel 10 / 10 Pro XLのカラーはMoonstone、Jade、Obsidian、Porcelainの4色。
Moonstoneは過去のGoogle Pixelシリーズにはなかったエレガントなブルーグレー。今回レビューで使用したJadeは、淡いミントのような爽やかなライトグリーンで、性別や年代を問わず手に取りやすいカラーです。



AI主導の新体験
Pixel 10シリーズの真価は、数値上の性能よりもAI体験にあります。とはいえ、性能も向上しています。
Samsungの4nmプロセスからTSMCの3nmプロセスに移行したことで電力効率が良くなり、バッテリー容量の増加もあってPixel 10 Proは1日700枚の写真と動画を撮影しても朝から陽が沈むまで電池が持ちました。
Pixel 10もProほどヘビーには使っていませんが、それでも確かに電池持ちは良い気がします。電池持ちは改善しているように思いますが、まだ1週間程度しか使ってないのでもう少し検証が必要です。
発熱については動画を連続撮影したり、長時間写真を撮り続けたりすると、ズームが制限されたり、カメラのプレビュー画面がカクつく場面がありました。
もっとも、これは熱中症警戒アラートが出るような炎天下で、通常とは異なるテスト目的の撮影に加え、スマホケースを装着していた影響も考えられます。
日常的な操作で気になることはありません。
性能に関してベンチマークスコアを計測したところ、やや奇妙な結果になりました。Proの性能が向上している一方でPixel 10は低下しています。
明らかに結果がおかしいのでベンチマークアプリ側がデバイスに最適化されていない可能性があります。
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Pixel 10 |
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Pixel 9 |
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Pixel 10 Pro / 10 Pro XL |
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Pixel 9 Pro / 9 Pro XL |
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マジックサジェスト
こうした基礎体力の向上によって実現したのが、Pixel 10のAI主導の新しい体験です。代表的な機能は「マジックサジェスト」です。
スマートフォンを使っていて最もストレスを感じるのは、必要な情報をすぐに見つけられないときです。
PCのように多くのウィンドウを並べられないため、アプリを行き来するだけで時間と手間を取られてしまいます。
そこで活躍するのが「マジックサジェスト」。チャットや通話、検索などのシーンでAIが文脈を理解し、そのときに必要な情報を提案してくれる機能です。
例えば、友だちにおすすめの中華料理屋さんを聞いて、返信が来ると「マップを開く」という提案が表示されます。提案をタップすると、Googleマップが起動してお店の場所やクチコミを確認できます。
さらに「明日そこに行かない?」と返すと、相手には予定確認用の「カレンダーを表示」が提案がされます。

予定が空いていた友だちから「いいね!明日12時に石川町駅で待ち合わせしよう」と返信が来れば、こちらには「予定を作成」が表示され、すぐにカレンダーに登録できます。
ほかにも「〇〇さんの電話番号教えて」とメッセージが来た場合には、連絡先データをもとに番号を提案。タップひとつで電話番号を返信でき、受け取った側には、その番号で通話やメッセージ送信を行う提案が表示されます。
また、航空会社にフライト情報を電話で問い合わせる際、Gmailに届いた予約番号を自動で通話画面に表示され、それを確認しながらスムーズに手続きできます。
まさに「AI主導の新体験」と呼ぶにふさわしい進化です。
これまでは、ユーザー主導で情報を探しに行く必要がありましたが、これからはマジックサジェストがやってくれます。
会話や行動の文脈を理解し、必要な情報を一歩先回りして提示してくれることで、「探す」から「提案される」体験に変わりそうです。
なお、今回のレビューでは、Googleメッセージを使いましたが、一部のサードパーティアプリにも対応する予定です。ぜひLINEやインスタのDMなどにも対応して欲しいところ。
そのほか、天気情報アプリでは、旅行などイベントが存在するときに提案が行われ、新しい「今日のまとめ」アプリでは、リマインダーが必要なGmail、テキストメッセージ、Keepメモがあるときに提案が行われます。

マジックサジェストは、事前に利用者の許可が必要な機能です。
以下のアプリの情報を使用して、役立つ提案を表示しますが、いつでも機能をオフにしたり、使用する情報をアプリごとに無効にすることも可能です。
- Gmail
- Google カレンダー
- メッセージ
- Google Keepメモ
- Pixel スクリーンショット
- 連絡先
カメラコーチ
カメラコーチもAIがユーザーを導く新しいAI機能です。
旅行のとき、インスタで見つけた撮影スポットに行き、実際にカメラを構えてみたら、どう撮っていいのか迷うことはよくあると思います。
そんなときにカメラアプリの右上にあるアイコンをタップするとカメラコーチが起動し、こんなふうに撮ったらどう?とおすすめの構図をいくつか提案してくれます。
あとは気に入った構図を選んで、画面に表示される指示に従えば、イメージどおりの写真を撮ることができます。



このようにカメラコーチは、AIの指示に従いながらじっくり時間をかけて撮影するため、走行中の電車のように動きのある被写体を構図に入れて撮影するときに使うことはできません。
さらに、構図の提案はクラウドAIが行うため電波が命です。圏外な撮影スポットでは使えず、構図が出るまでその場で立ち止まる時間が長くなって、落ち着いて撮影できないこともありました。
それでもカメラコーチが提案するノウハウや構図は撮影体験の中に蓄積されていきます。繰り返し使うことで写真の腕も自然と磨かれ、いずれはカメラコーチから卒業できる日が来るかもしれません。
カメラ
Pixel 10シリーズのカメラは、AIの進化とハードウェアの強化が組み合わせることで、旅行も日常も安心して託せる存在になりました。
ベースモデルとなるPixel 10には、待望の望遠レンズが追加され、シリーズのどのモデルを選んでも、遠くの距離からくっきり撮影できます。










Googleいわく、Tensor G5で再設計された新しいISPによって写真と動画の画質が向上しているとのこと。
一方で、Pixel 10はカメラ性能がPixel 9からダウンし、Pixel 9a相当になっています。ISPの改善とカメラの性能ダウン、どちらが勝ってるかと言えば判断が難しいところ。
写真はPixel 10の方が暗い仕上がりになっているものの、横浜スタジアムを超広角カメラで撮影した写真ではフレアが大幅に軽減されていて、海岸で撮影した写真ではノイズ低減とディテールもかなり良くなっています。
月まで寄れる!?最大100倍の超解像Proズーム
光学ズームではベースモデルとProモデルの差が縮まったものの、Proモデルは最大100倍ズームに対応。肉眼では見えない遠景まで切り取れます。
これは地球から月まで寄れるGalaxy S25 Ultraに匹敵するもの。実際に月が綺麗に撮れるのか、秋の澄んだ空に浮かぶ月を撮影するのが今から楽しみです。


なお、超解像ズームProは、ランドマークなどの撮影が推奨されていて、野球のスタジアムで観客席から選手を撮影するようなシーンでは推奨されていません。
ズーム時に失われたディテールをAIが書き足すという仕組み上、鳥やビルのような形はAIが推論するのは簡単な一方で、人物の表情のように一人ひとり異なる細部を自然に復元するのが現段階では難しいからだと思います。
ポートレートも進化
Tensor G5によってポートレート撮影も進化し、被写体と背景をより正確に認識するようになりました。
特に人物撮影では、髪の毛の細部までくっきりと捉えながら、背景が一段と自然にボケます。

Proモデルでは手ぶれも進化し、広角カメラは光学手ぶれの補正範囲が2倍に拡大。
撮影時に動画ブーストを使えば、クラウドAIによる強力な手ぶれ補正で、街中を歩きながらのVlog撮影もスムーズな映像に仕上がります。
ついに来た!!PixelsnapによるMagSafe体験
AIに次ぐビッグアップデートはQi2にフル対応したことです。ついに、iPhoneのMagSafeと同じように使うことができます!!
例えば、Qi2対応のワイヤレス充電機やモバイルバッテリーが背面にピタッと吸着して位置ズレなしで高い効率でワイヤレス充電できます。

MagSafeとの互換性も備えているため、これまでiPhoneのために購入したマグネットアクセサリをPixel 10シリーズでもそのまま使えます。
Ankerの超薄型モバイルバッテリーも、Belkinのスタンド型充電器も、POV撮影で便利なネックバンドもすべてPixel 10シリーズで使えました。
充電性能についてもQi2完全準拠のため、出力は最大15W。最新のQi2.2に対応するPixel 10 XLのみ最大25Wで充電可能です。
「あれ?Pixel Stand 2はどうなったの?」と思う人もいるはず。
というのもPixel Stand 2を使えば、これまで最大23Wで充電できたため、Qi2に完全準拠したことで出力が低下したことになります。
メディア向けの発表会でGoogleに聞いてみましたが、Pixel 10シリーズでPixel Stand 2を使用するときの使用について明確な回答は得られませんでした。後日検証して追記したいと思います。
まとめ:iPhoneにワクワクしないならこちらへ

冒頭で紹介したようにPixel 10シリーズは見た目こそ昨年からほとんど変わっていませんが、中身は大きく進化しています。
2大アップデートは「AI」と「Qi2」です。
マジックサジェストは今後の進化次第で本当に便利になりそうなAI機能ですが、もっとも大きな課題は触れられる機会をもっと増やすことです。
チャットアプリでの提案は、サードパーティでも利用できると案内されていますが、レビュー期間で使えたのはGoogleメッセージだけでした。
せっかくの新しいAI体験を多くの人に届けるには、LINEとインスタなどSNSのDMにまで対応を拡大する必要があります。
紹介しきれなかったAIの新機能に「マイボイス通訳」もあります。
これは機械音ではなく自分の声で日本語が英語に、相手の声が英語から日本語に翻訳される音声通話のライブ翻訳機能です。海外旅行や出張に行ったり、海外の人と仕事をするのであれば便利かもしれません。筆者は使う機会がなさそうです。
このようにAIは人を選ぶ部分がありますが、Qi2へのフル対応は発売直後から多くの人が便利だと感じるはずです。MagSafeとの互換性があるため、iPhoneから買い換えてもアクセサリをそのまま活用できます。
そして今、AppleはAIで大きな遅れをとっており、昔ほどiPhoneにワクワクしない人も増えてきました。そんななかでPixel 10シリーズは、乗り換えを真剣に考える理由になる1台だと思います。


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